黒澤映画の後期作品は、批判的な意見が多々あるが、全盛期の娯楽作品が好きな方に多い傾向にあると思われる。しかし、同一人物でも40代と70代の時にそれぞれ作った場合、本質的には、変わらなくても表現の仕方が、かなり変化するのは黒澤に限った話ではないだろうし、娯楽性が乏しいから、ダメになったという意見は、安易すぎると思う。後期作品は、スタイルは変化したが、どれも骨太でしっかりした味わいのある映画を作っていたと思う。私が特に好きな黒澤映画は、「羅生門」と「白痴」であり、観念的な作品が好きなんですが、「夢」は、そういう系譜の作品だと思うし、後期作品の中では、一番良かった気がする。
この映画映画館で見たのですが、いまDVDで観てみると当時と感想がまったく異なっております。まあ人生経験の度合いで見方が変わるのでしょう。 3人の女性はそれぞれに純粋な気持ちを持っているのですが,主人公がどうも気持ちが定まらない。その3人の女性をいしだあゆみさん(妻)原田美枝子さん(愛人)松坂慶子さん(旅の道連れ)ときれいな映像で撮りきっております。妻は愛人がいることで見切りをつけるのですが,子供のために家庭は維持します。この妻の心情を表情でも見事にいしださんが演じきってますね(私はこの俳優が好きなせいか一番女性らしいと思いました)しかし、映画は二人の女とのシーンで2つのピークをつけます。ダブルトップというやつですね。まずは愛人の原田さんとの瀧のシーン。映画的にかなり良いシーンでしょう。俳優も景色も音楽も照明明も全て完璧。この映画の原田さんは本当に美しいです。「青春の殺人者」の時よりも良くなっているような気がします。きれいに成長したという感じで前半の山を作ります。後半の山は松坂さんと五島列島と九州の旅。それまで沈滞していた家庭と愛人の間から開放された自由な空気を画面いっぱいに松坂さんの元気の良い演技で充満させます。今思うと他の二人がいい演技しているので特別良いと言う感じではないのですが、自分自身の気持ちとして別れて行く心がきれい。「こんな楽しいこと一生続くわけないでしょう」と自分の生活に戻るのです。まあ結局主人公も家庭に戻るというパターンですが、この映画は、各個人の愛情の認識をチェックすることとこの四人の俳優の美しさでしょう。出てくる女優3人が全て美しいという映画はそうざらにはないと思います。昔はたくさんあったんですけどね。地味なようで音楽と言葉と映像がマッチした作品だと思います。今の私には愛すべき作品です。
当時10才、たしか劇画コミックもあって強烈に惹かれた作品です。
この頃の映画はどうしてトラウマを植えつけるくらいインパクトあるのでしょう・・・
今の作映画はあんまりインパクト残らないのが残念です。
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