吉田豪さんのインタビューや町山さんの自伝など、結構強烈でした。太田光と立川師匠との対談など盛りだくさん。表紙の西原さんも結構飛んでいますし。なんだか手ものに置いておくとバチが当たりそうな、そんな雑誌です。
「ジョンヘンリーの末裔」は今でも頭の隅にこびりついています。就職してまもなく、毎日の通勤の時に見かけた、ハサミをくるくるパチパチやっていた駅員さん達はどこにいってしまったのでしょう。 「鉄叫子楽和」も心に残っています。LPは持っているのですが、CDができれば是非購入して、久しぶりに聴いてみたいです。
僕がこのアルバムを手に入れたのは、仕事で行った九州の中古レコード屋だ った。当時(5年位前?)でも既にURCのレコードは手に入れにくく、特 に今回のCD化プロジェクトにあがっている様な作品は結構な値段で取引さ れていた。でも、よくある「幻の名盤」の例に漏れず、今となっては稚拙な ものであったり、恥ずかしい気分になったりするものも多く、聴いてがっか りということが多々あった。そのなかで古川豪のこの作品を聴いたとき、ア メリカのトラディショナルミュージシャンやフォークシンガーのレコードと 同じ感覚を受け、とても感激したし驚きもした。「ホーボーの子守歌」を始 めとしたアメリカのトラディショナルな歌への確かな愛情と、単なるアコー スティックな音楽と本!当のフォークソングとの違いがここにはあると思う。
ライムスターのラッパー、宇多丸を中心に、4人のいわゆる業界人たちがくりひろげる、本質的に素晴らしく知的な時事放談。もう幻想は抱いていないが、かといって現状を打破する有効な手立てもこれといってない男たちの、社会に対する揶揄や懐疑が延々と表明される。とりとめもない雑談のようでいて、公共性を欠いた言葉は一言も発せられていない。言いたいことを言い放っているようでいて、自分の言葉が、他のメンバーに、そして読者一般に、どのように受け取られるのか、という鋭敏な意識が最後までとぎれない。5人の言葉のインタープレイは、マイルス絶頂期のクインテットを思わせる。単行本化にあたって追加された、当時の対談を捉え直したコメントもよい。
他者不在の無防備な直言が渦巻く昨今にあって、このような企画は貴重だ。本当の批評とメタファーの快楽が一行ごとに噴出する本書は、流行の思想書などより、読むのに時間がかかる。20代は、熟読すべし。30代は、反省しよう。正論がリアクションとしてしか成り立たない現状は、やはり正常ではない。個人的には「モテ」話が若干多すぎるように思われたが、自分たちの位置づけに悩み苦しむ「日本語ラップ」の反映として、仕方ないことなのだろう。言葉のセンスがこんなに豊富な人たちが関わっている音楽が、おもしろくないわけがない! 日本語のラップ、聞かず嫌いの人は、まずこの本から入ってみたらいい。芸術の前衛は、いつだって、事後的に認知されるものなのだから。
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