視聴しただけで、Metisのコンセプトが詰まったアルバムです!!
絶対おすすめです!
上巻の後半から、加速がついて読み続けてしまった。下巻、一気です。はっきり言って、何か大事な用のあるときとか、ダメですね。さぼってしまいます。とにかく、特に下巻半ばくらいからは、多分ノンストップでしょう。
ストーリー的には、割にこれまたベタな展開で、なんというかな、予想通りな感じがします。ネタバレになりますから言いませんが、そのベタな多分そうなるであろう的展開は、きちんと裏切られます。二回ほど。ほっほう、そう来るか、というところがいいなぁ。
ある種淡々と、ひそかに進んだ上巻と違い、下巻はスリリングであり、ドラマチックです。
だから、上巻で、これは面白いぞ、と思ったら人は、もう下巻はまさにノックアウト。非常に面白いです。なかなか多彩な仕込みで、かなり驚きました。
ボクシングと言うことで、ちょっとしり込みする方もいるかと思いますが、それは気にしないでいいですね。ボクシングに詳しい人の方が少ないことは、作者も十分わかっているのですから。
ちなみに、短いエピローグ、けっこうググっときました。ここまでで100点。このエピローグで120点です。
いやはや。おもしろかった。
作者は実にうまい人だなぁ。しばらく作者自身にもはまってみようと思うんです。
このところスポーツ小説ブームだと勝手に思っている。 同時に時代小説ブームだとも思っていて、共通していえるのは、どちらもわりに爽やか系だということ。 世間のドロドロに対して、どこかで救いを求めようとしたものだろうか。
boxには、あまり知られていないが、殴る、という意味もあって、そこからボクシングという言葉も生まれた。 この小説は、ぱっとしない高校のボクシング部を舞台に展開する、友情と成長と、それにもちろんボクシングの勝負の話である。
魅力的なスポーツ小説がいろいろある中でも、単純に面白さでいうなら、なかなかこれ以上のものはないと思う。 それはなぜかとつらつら思うに、もちろん作家の技量などもあるわけだが、 一つには物語の中で、競技そのものの魅力の占める割合がより高いせいではないか。
何しろボクシングは、実写映画の形でまたまた復活した『あしたのジョー』の例を引くまでもなく、 昔から物語になりやすいのだ。映画にも今や古典の「ロッキー」シリーズがある。 基本は殴り合いという、見ようによっては野蛮なものであって、しかしそれに人生を賭けるという「背負ったもの」の伝統がある。 実際ボクサーの人生は苦労しつつ這い上がって、というハングリーなものが多いようだ。
当然、描き方ではかなりドロドロするわけだし、ここでもその片鱗はあるのだが、 ドロドロを暗示しながらも、最終的にはこの作品らしい奔放な明るさで締める。 やはり最後は爽やか系のスポーツ小説である。 どちらかというと生々しいボクシングのドラマを、高校スポーツという土台をうまく作って、爽やかに仕上げた。 そこだと思う。
マンガのような小説が増え(けなしているわけではない)、 小説のようなマンガが増えているが(広がりという意味でこれは評価している)、 これもいかにもマンガ的な小説で、たとえばいろんな意味でボクシングマンガの『はじめの一歩』に似ている。 だが、ここには小説ならではのしたたかな計算があると思う。
爽やかさを支えるのに、中心人物の一人である耀子が若い女性教師、という設定が大きい。 ボクシングに素人にして若い柔軟性、感受性を備えており、若いボクサーたちに共感できる年齢でもあり、 そして教師として彼らを支え、かつ倫理的な部分で、ドロドロに流れない歯止めでもある。 物語の大半は彼女の視点から描かれるので、ボクシングとはまず謎であり、恐ろしいものとして始まるわけだが、 それがだんだん熱気と夢と可能性をはらんだものに姿を変えていく。 彼女がその魅力に惹かれ取りつかれていくように、読者ものめりこんでいくのである。
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