いままでありそうでなかったオムニバス。選曲の統一感も取れ,聞きやすい2枚組み。壁に掛けられるような間奏曲の集まりは聞いていて心地良い。
先日、20数年ぶりに堀米ゆず子の実演(日フィル、ブラームスVn協奏曲)を聞いてよかったので購入したもの。
日本のバイオリニストは本当に優秀で、毎年のようにどこかのコンクールで優勝、入賞しているが、彼女の一世代前あたりから始まっていると思う。その中にあって彼女は、(エリザベトか何かで入賞したのだったかと思うが)、技巧もさることながら、ニュアンス、歌心が豊かで、魅了された。この小品集でもそれは明らかで、どれも魅力的で聞きほれた。もう一方のレビューワーの方ほどの大賛辞ではないが、気持ちは分ると言うものである。ぜひブラームス、ベートーベン等の協奏曲も録音してほしいと思う。またこの人はピアノ以外の組み合わせの室内楽もうまい(シューマンの4重奏を聞いたことがある)ので、やはり録音をしていってほしいと思う。
全体として受ける印象は 『 得体の知れない不安 』。
表現されているのは 「こころ」の『闇』の入り口。
この感触は...
じっくりと時間をかけて、しっかりと気分が落ち込んでいく時の「前ぶれ」として感じる、...
どこからともなく近寄ってくる『得体の知れない』、それでもたしかになにかが迫ってくる
ことはわかる...あの『不安』です。
自分の『感情』を感じる時にたいせつなことは、
その感情は自分の中にあって自分の一部ではあるが、
それが「私」自身ではないということをわかっていることです。
...と、自分に言い聞かせたところで、
『感情』の嵐は、頭でわかっていることなど一蹴して荒れ狂います。
『感情』から一歩ひいて、距離をとってこの『感情』と向き合うには...
自分の「外」からこの『感情』を見つめてみることです。この作品と向き合うと、
この『得体の知れない』不安 を 「外」から 感じることができます。
さがしていた「音たち」に、やっと出会えました、
やっと、...やっとです。
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