なけなしのお金を月並みの国の世界に投資、荒っぽいジャンプ:いろいろなショックにやられても自己責任とあきらめていたが、実は果ての国の世界であったのに今気が付きました。
上下巻で厚みもあるのでかなり読むのに時間がかかるかと思いましたが、お正月休みを利用して実質1日ほどで読めてしまいました。著者のストーリーテラーとしての資質がうまく科学哲学を表現できてるようで、またベル型カーブを仕事に利用してたりなんとなく既知なこともあってかすいすいと読み進めました。もちろん全部理解してるとは思いませんが、現実は物理現象のように管理されていないので実践主義で、カモにならず黒い白鳥になれば良いのではと思いました。
なかなか面白かったです、すぐ忘れてしまいそうですが、少しは元気をもらえました。エッセイとしても面白いのでは、お勧めです。
また、1Q84の第1章には歴史が人に示してくれるもっとも重要な命題は「当時、先のことは誰にも分からない」とあり、なんとなくなるほどなと納得しました。
私は哲学に関しては門外漢であり、哲学関係の教科書も数冊読んだ程度の知識しかないのであるが、いったいどのあたりが哲学なのだろうか? タイトルに「哲学」とあるが、著者による考察は極めて少なく、ほとんどが脳神経科学の研究成果を概観・羅列しているようにしか思えない。もちろん全く著者の考えが盛り込まれていないということではないが、本書の80%以上は脳科学の教科書的な記述に偏っているというしかない。「哲学」をしているところもいくつかあったが、先行研究や先人の考え方を引用していることが多く、もう少し筆者なりの独自の考えが提示されていたほうが面白くなると感じた。 ただ、章立てが非常に細かく、自分の好きなところから気楽に読み始められるのは良い点だと思う。 本というものの性質上、読み手は不特定多数であるし、万人受けする著作などというものはなく、本を読んでの感じ方・考え方は人によって違うのは当たり前である。ファンの方はお気を悪くなさらないでください。
ラッセルの哲学史については、哲学史の専門家からはいろんな批判がある。ラッセル自身は哲学史を専門としているわけではないし、各哲学者に対して、かなり主観的な批評をするから、哲学史の専門家の中には、良い印象を持たない人がいて当然だろう。 しかし私は、偉大な哲学者による、主観的な哲学史として、非常に優れた本だと考えている。 ラッセルの優れた点はいくつかある。 まず、彼は歴史の中で先見性を持っていた。第一次大戦に反対したが、結果的に壊滅的打撃を受けたドイツはナチスを生んでしまった。共産主義の持つ理想には惹かれたものの、限界を早く見抜き、共産主義反対を表明した。進歩的思想家としてサルトルたちが人気があった時期には、ラッセルを反動だと言う人も多かったが、時代は共産主義の限界を示した。しかし、ラッセルはベトナム戦争では、人道的見地から、共産主義と戦うアメリカを非難した。ベトナム戦争も、アメリカにとっては悪夢となった。 このように、書斎と大学を拠点にする哲学者とは全く違った、鋭い政治的視点を持っている。 思想を実践した人でもある。教育に関心を持てば学校を作り、政治批判をすれば立候補したり、老年になってもデモに参加した。 また、ラッセルは数理論理の世界では、歴史に残る大家である。ある分野において非常に優れた人の目というのは、やはり尊重すべきものである。 ラッセルの英文は明快である。読んでいて気持ちが良い。ただし、この本の中世哲学の部分は読みにくいため、飛ばし読みをした。古代と現代はしっかりと読んだ。 私は留学しようとする学生の何人かにこの本を薦めた。その中の一人はこの大部な本を持ち歩いて熱心に読んでいたが、今ロンドン大学で国際経済を学んでいる。
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