桃花水 きみを待つ春のほとり (ヴィレッジブックスedge)
恋をした女の子のひとつひとつの感情がとても丁寧に書かれていて、
読んでいるとこちらまで嬉しくなったり、切なくなったり。
「恋」っていいなぁってそんな気持ちになれる作品です^^
何度読み返しても
また読みたくなる物語です。
社会は存在しない――セカイ系文化論
読了しましたが、ほとんど知らない作家と知らない作品のオン・パレードで、自分がいかに《中年》になってしまったのかを自覚しました。各論的にも、問題意識の立て方それ自体がよく分からず、読んでいて途方に暮れる場面もありました。まだまだ若いつもりの私ですが、それが《つもり》に過ぎないことを感じました。読了後、初めて知った『最終兵器彼女』という作品をネットで検索して、買うか買わないか迷っている自分が、今、ここにいます。そういう意味では、《中年》向けの《若者SF》ブックガイドとしても、活用できる本だと思います。
夏空に、きみと見た夢 (ヴィレッジブックス)
入り口はホラーっぽくて、でも最後はほっこり暖まれる、ファンタジー色の強い青春恋愛小説。
ちょっと古いですが、名作洋画「ゴースト〜ニューヨークの幻〜」に似てます。
あちらは夫婦のお話ですが、こちらは主人公が、自分はまったく知らない人が現れ、そして影響され…という点で大きく異なります。
ゴーストとなった少年が、どうして主人公に恋をしたかの描写が弱いような気はしますが、全体を通して非常に読みやすく、きれいにまとまっているので、万人におススメ出来ます。ヘタなケータイ小説などよりはるかに素晴らしい作品です。
作者の小説は初見だったが、他の作品も見て見たいと思う。
「ルナ・レインボウって知ってる?(中略)太陽じゃなくて、月の光で現れる虹。とびきり明るい満月の夜にだけ。その話を聞いて、ずっと憧れてたんだ。いつか、大切なひとと二人で見たいと思ってた ― ほら。」 本文207ページより
プッチベスト~黄青あか~
このアルバムは3色シャッフルも入ってるし、『ちょこっとLOVE』も入ってるので、
結構お買い得なのだが、出色はやはり安部なつみ『とうもろこしと空と風』であろう。
前奏は完全にジャクソン5の引用ともいえるし、ハンド・クラップやカッティングギターは
もろモータウンなのだが、この曲のキモはアップダウンが激しいベースラインであろう。
この曲は巨匠筒美京平氏の作曲法への遥かなるオマージュに聞こえる。
つんくは実は非常に由緒正しい日本の歌謡曲の人でもある。
この曲はそういう意味では折り目正しい立派な最期の歌謡曲である。
自ら『LOVEマシーン』で歌謡曲の枠組みをぶち壊しながら、この曲で謝罪している感がある。
完全なる独壇場である。しかし、残念ながら、この曲は意外にも大ヒットにならなかった。
時代はもうアイドルの歌謡曲を聞いてる時代ではなくなっていたのだ。
自らの墓穴を掘ったといえば、それまでなのだが、時代がもう「ホンモノ」や「リアル」に
走り、歌謡曲が成立しなくなっていたのだ。
松浦あやは既に「骸骨歌謡」になり、人間の「歌」を感じさせる最期のアイドルによる歌謡曲に終止符が打たれた。
90年代不毛といわれたアイドルの荒野を高い音楽性で一人で背負っていた森高が休養に入り、残された財産もこの曲で使い果たしてしまったのだ。
2000年からそろそろ10年。もう1度、名曲『とうもろこしと空と風』を聴いてみてはいかがだろうか?とうもろこしという言葉をコーラスに使ったつんくの言語感覚も素晴らしい。
これは実は森高の作詞法の影響が大きいと思う。(『この街』などの地方性の導入)
この言語感覚と正当アイドル曲の高等なる融合。
高等なる実験ともいえるが、この高等さに日本の何人が気がついていたのだろうか?
風のむこう、きみへ続く道 (双葉文庫)
結婚を控え寿退社した主人公・千晶が、婚約者・克巳に行き先を
告げずに、バイクで旅をする物語です。旅の目的は秘密ですが、
毎日、携帯で撮った写真を送る約束をします。
行く場所は観光地ではなく、住宅街や学校なのですが、
旅先で千晶は、赤ちゃん、2〜3歳の男の子、小学生の男の子、
中学生の男の子・・・と出会い、短い時間を共有します。
(自転車に乗る練習に付き合う、一緒に釣りをする 等々)
その男の子たちと一時を過ごす中で、克巳との出会いから
今までのことを振り返り、夜、電話で克巳と話をするという
ストーリー構成なのですが、徐々に千晶の旅の目的である
プレゼントの内容が、克巳と読者に伝わってきます。
ハラハラ、ドキドキという小説ではありませんが、人と人との
繋がりや、人を好きになることの素晴らしさが描かれています。
他の飯田雪子さん作品よりもちょっと大人向けのストーリー、
ぜひご一読ください。