テルマ&ルイーズ [Blu-ray]
これはヒロイン版「明日に向って撃て!」と呼びたい大傑作だ。「明日に向って撃て」と異なるのは、現代の物語で、普通の女性2人の憂さ晴らしの週末旅行となるはずだったのが、女性故の理不尽な目に遭い、あるいは遭って来た過去があるという事情故に、お尋ね者の立場に追いつめられてゆくこと。
従って、「明日に向って撃て!」や「俺たちに明日はない」の単純な女性版ではなく、ジェンダーに関する問題意識も込められている。
しかし、痛めつけられ、警察に追跡されながら、オープンカーで走り抜けるアメリカ西部の景色の美しさは素晴らしい。本作は、旅を通じて個人が抑圧から解放され、「自分を表現する」術を身につける、立派なロード・ムービーである。
ラストのヒロイン2人の表情が最高だ。堅い友情で結ばれた女性2人がはなばなしく散ってゆくエンディングは、映画史に燦然と輝き続けるだろう。
特典映像としてもうひとつのエンディングが収録されているが、断然本編のものの方が深い感銘を与える。
男性の俳優では、警部でありながら2人に救いの手をさしのべようとするハーヴェイ・カイテル、ルイーズの恋人役のマイケル・マドセンがいい味を出している。
テルマ&ルイーズ [DVD]
30歳代の女性2人の日常から突然の非日常への転換、そして2人自身すら予想だにしなかったであろう最終決断。坂道を転がるように2人の内面が、状況が変化していくのだが、ブラッドピットが絡んでからは変化のスピードが一気に速まる。「俺達に明日はない」が頭をよぎる展開、そして息をのむ結末。彼女らを良く理解し救おうと奔走する独りの中年捜査官の存在と、緊迫した中にも随所にちりばめられたユーモアに救われる思いがする。最後は化粧っけもなくなる2人、女優の真髄を見る。
テルマ&ルイーズ (スクリーンプレイ・シリーズ)
『ハードな《プリティ・リーグ(映画)》とも言えます。』
レビュー・タイトルは、この映画を観た人なら、多分うなずいて
いただけると想っています。
(くれぐれも、各国の法律の範囲内にての取り締まり方法には、なるのですが。)
すべての《母性》へ、この映画の『思想』を捧げます。
(m(_._)m)
(This inspired from The Rose by Dear Bette Midler.)
テルマ&ルイーズ [DVD]
皆さんのレビューの調子があまりに軽いので驚きました。
先日テレビでやっていましたが、私にはショックの大きい映画でした。
主人公の女性二人は素敵です。ロードムービーとしても痛快。それはわかります。
でも、序盤のレイプ未遂シーンから、女性として正視はできませんでした。
そのような男は射殺されて当然、これは映画の中の言葉ですが真実だと思います。
親友のために男を撃った女性も過去に同様の傷を持つというエピソードが暗示され、
逃亡中に出会う男尊女卑のタンクローリー運転手には批判を浴びせてタンクを破壊する。
私には、これでもか、というような、被害側女性の怒りと悲しみを表現した映画
のようにしか思えません。二人が犯罪を重ねていくのも男社会に復讐をするためでは。
世の男は強姦犯罪に寛大すぎます。母が、妹が、娘が、と考えても、
まだまだ女性側の意識との乖離を痛切に感じます。
この映画を軽く見ているようではだめではないでしょうか。
テルマ&ルイーズ (スペシャル・エディション) [DVD]
「ブレードランナー」のリドリー・スコット監督は英国人だが気の弱い人で当時はスランプ。この映画は社会派のサランドンが主導権を持つ女性=フェミニズム映画で「レイプ」を強く告発している。そのメッセージは過激で「レイプ犯はその場で射殺してもかまわない」というもの。まあ気持ちは解るが支持できない。半殺しにして懲役10年位ではだめなのか?駄目らしいな。撮影中には小心者のスコットをサランドン、デイビス(大柄な女性)二人して散々苛めて楽しんだ。スコットはすぐ赤面するらしい。「ディドリー・スコット」とあだ名をつけ顎で使っていたという。ロックのボー・ディドリーから。他にハーベイ・カイテル。マイケル・マドセン(好演)チンピラ役でブラッド・ピットも。ラスト・シーンは泣かせる。ジーナはボストン大学卒のインテリ。足が26センチと私と同じ。なんか豪快な女性。アーチェリーが趣味で怒ると弓で射られるとか。怖い。女性は。私は女性の味方です。念のため。苛めないで。