のだめカンタービレ 最終楽章 前編 スペシャル・エディション [DVD]
コミックスを実写にするのは難しい。とくにコミカルな作品ほど表現に自由度の高いアニメに比して実写映像の限界を如実に感じさせられるのだが、のだめカンタービレはその難しさを見事に克服していて楽しめる作品だ。のだめ役の上野樹里と千秋真一役の玉木宏の二人が奇を衒うことなくキャラクターに入れ込んでいることに好感が持てる。この二人の熱演あってこその喜劇とも言えるだろう。この二人以外にも有名タレント、怪タレントの出演が目立ちながらも、まずタレントありきになることなく、各人各様の存在感を保ちながらアニメストーリー独特のありそうでなさそうな微妙な現実感とともに観客の心をチョコチョコっとくすぐる感覚が楽しい。一方、タレントと無関係な楽団員の世界では気難しいコンマスの内に秘めた思い、演奏家であるとともにまず食っていかねばならない、彼等を取り巻く複雑な環境といったエピソードがバランスよく配されていて締めと緩めのバランスがうまい。これに音楽の楽しみも加わって、意外と言っては失礼だが厚みを感ずる作品になった。さてストーリー的には前編はのだめのフラストレーションが蓄積するお話。続く後編が楽しみだ。