Das Doppelte Lottchen
エーリヒ・ケストナー著「2人のロッテ」原書。入門書や絵本レベルを卒業し、手頃な副読本を探している1〜3年目のドイツ語学習者にお勧めの一冊。両親の離婚で赤ちゃんのとき引き離された双子の女の子が林間学校で偶然出会い、衝突し、双子と分かって仲良くなり、入れ替わり、そして・・と、小説作りのセオリー(起承転結)で展開する他愛ないストーリーなのだが、読み進むほどになぜかジーンとなって引き込まれてしまうのがケストナー。 DRESSLER社のハードカバーは、装幀、紙質、活字ポイント、挿絵すべてが良く調和し物理的に心地良く読める。ドイツ語学習者にとって幸いなことに、OETINGER社から原書のスクリプトを忠実に短縮編集したCDがある(47分)。欠点は余りにも抜粋し過ぎだが、絶妙の配役・迫真の朗読は、それを補って余りある。会話に使える表現多し:ISBN:3789101362。 ごく最近、edel Kids版で映画からの68分CDが出たのでとりよせてみた(9783898556293)が、残念ながら原書からは全く離れてしまってサブテキストには使えない(それ自体は悪くないが)。 なお、DERSSLER版で敷居の高い人にはKLETT社の簡約版も(挿絵は酷いが)意外と内容はまともなので先に買ってもいい:3126756808。 対訳には、岩波から邦訳あり。なお、邦訳を買うときは簡訳版でないか注意が要る。
ふたりのロッテ (ケストナー少年文学全集 (6))
ケストナーは、きれいごとを言わない。
生きていくのは大変なことだ。
大人も、子どもも。
ケストナーの作品に出てくる子どもたちはみんな、試練を受ける。
今回も笑って泣かせてハラハラさせて…とケストナーの真骨頂。
凝ったストーリー展開で、大人にも充分読み応えあり。
今でこそ、双子ネタや離婚ネタは珍しくないが、当時から所詮子どものお話とタカをくくらない作者の真摯な姿勢には胸を打たれる。
ふたりのロッテ (岩波少年文庫)
随分前の出版のため,古風かなあと思うところもあるのですが,私は読みながら,涙してしまいました.
冒険の要素もふんだんにあり,読者を飽きさせない一方で,親子の愛,兄弟愛など,色々な愛も書かれており,人間関係についてふと考えさせられました.
登場人物も,人間的で,よくも悪くも魅力的な人ばかりで,いつの時代も同じなんだなあと思ったりしました.大人の方には,子どもの時には分からなかった深ーい読みができると思います.大人の事情で子どもを不幸にしてはいけないなあ,とほんとに感じます,是非,大人の方にこそ読んで頂きたい本です.
ふたりのロッテ [DVD]
中学生の頃に翻訳物を読んで感動した作品の映画化。
今回は1994年に制作されたためか、物語の筋運びも極めて現代的で、あのケストナーの原作にただよっているなぞめいた雰囲気、敏感で感受性の強い乙女心、全体を流れるペーソスなどが感じられず、少々物足りなかったが、時代の流れはいかんともしがたいのであろう。
ただ、双生児の演技は一人二役ではなく、本物の双生児を起用したためか不自然さが感じられず、多分それは二卵性双生児だったのか、二人の顔貌も微妙に異なっていて、二人の性格の違いも無理なく表現されていた。また母親役もいかにも大人の成熟したキャリアーウーマンといった感じで、日本のキャリアーウーマン物にありがちな不自然な背伸びも感じられず、すがすがしい演技であった。
ふたりのロッテ [DVD]
これのアメリカ版THE PARENT TRAP(ウォルト・ディズニー)も比較したが、あくまで子供向け。こちらの方が感動が深いし、大人も楽しめる。更に、ドイツ語の勉強にもなる。絶対 お薦め。