非道徳教養講座
実話系の流れや鬼畜系の展開のみを期待する読者には向かないかもしれないが、平山夢明の骨髄を覗き見るような興味深い一冊だった。
全編が、「執事」と扮した(?)平山の文体で語られる人生訓のようなものなのだが、それはあからさまに件の傑作「ユニバーサル式横メルカトル」のアイツそのもので笑いと不気味を誘う。(笑)
鬼畜や極論などのガジェットに彩られながらも、平山夢明という作家が決して<色物>では無いという骨太さを感じた。
個人的には、既刊の春日武彦との対談本などよりは段違いに中身の濃い一冊となっているのではないだろうか。
創作小説ではない既刊本の中ではダントツに濃度が高い。
内容はかなり硬く真面目なものだし、驚くほど実用的な指南書になっているため、挿入される児嶋都の漫画がとても良い薬味になっていた。
でも結局笑ったんだよなぁ。
最後の平山と児嶋の対談も脱力と爆笑。
平山夢明に17歳の娘がいるという衝撃の事実も暴露。(笑)
壁女 (真夜中の都市伝説)
世間で語られる有名な都市伝説の紹介と、その由来を解説。
扱っている伝説の数が多い分、ひとつひとつの解説(元ネタとなった事件や事故が何か等のルーツの検証)は非常に簡素だが、主な都市伝説についてはほとんどすべて網羅されているので、雑学的にざっと知りたいと言う人や、都市伝説初心者の人にも奨められる。
表紙からしてキワモノっぽいが、とりあえず都市伝説に関してはこれを読んでおけばOKという、意外と固い一冊。
邪神宮
5月に東京のギャラリーで開催された展示企画である「邪神宮」の図録を兼ねたものだが、展示物(イラスト及び造型)の写真と解説に加えショートストーリー8本を収録したもの。京極夏彦氏は小説の方ではなく本職で参加していたりする。又、ホラーが得意な井上雅彦氏は造型の方で参加。
この本を片手に展示物を実際に見ていると、矢張り展示品は現物を見なければダメだと実感させられた。
ショートストーリーの執筆陣は岩井志麻子、円城塔、真藤順丈、松村新吉、嶽本野ばら、飴村行、黒史郎、平山夢明の八人。一篇が短いだけに各人がクトゥルー神話と言うものをどう捉えているかがはっきり判って面白い。
おとめ図鑑 (マジカルミステリーホラー (4))
児嶋都自身、楳図かずおさんの手法の継承というということを意識しているそうだ。しかし、ただコピーするというわけではなく児嶋都独自のアレンジが十分にあるわけで、そこにはパロディーというよりも、むしろユーモアを加えた世界の再構築があるのかもしれない。
と、いうような小難しいはなしは抜きにして、ただ読んで面白がればそれでいいのかもしれない。しかし、きをつけなくてはならないのは、楽しめる人は楽しめる、駄目な人は駄目だとおもう。これは楳図調の絵柄がしょっている宿命かもしれない。読む前に、そのあたりをまずチェック。
児嶋都の漫画にはグロポップという言葉がよくキャッチで使われているとおもうのだけれど、この説明をしたほうがいいかもしれないな。個人的な解釈なんだけれども、言葉としてはグロテスクとポップでグロポップ、ということなんだろうけれど、そこに「笑い」という要素が加味されると思う。ホラーという状況を客観的に見たところから生まれる「笑い」。児嶋都の世界観は、まさにそこにあると思う。そして、気が付くとその客観的な立場というのが実は毒気に彩られた視点であることに気が付くかもしれない。 漫画を読んでただただ、面白がるだけでも十分なのだけれど、ふっと差し込むように忍びこむ児嶋都の毒気にやられてしまうかもしれない。くわばらくわばら。
巻末には児嶋都のインタビューも収録。
怪奇大盛!!肉子ちゃん2―児嶋都作品集 (マジカルホラー)
ギャハハハッ~~っていうおもしろさです。京極夏彦「どすこい。」の巻末マンガに紹介されていたので購入。なんでもバリバリ食っちゃう肉子ちゃんは、すごい!京極夏彦、綾辻行人、唐沢俊一、遠藤ミチロウ等々の肉子ちゃんへのファンレターも楽しい。肉子ちゃんTシャツ、あったら着たい!