名探偵ポワロ ニュー・シーズン DVD-BOX 4
この巻に収録されている『オリエント急行の殺人』について、あまりにも著しい脚色がなされていて納得できない、という方は、多分多くおられると思います。確かに、大胆な脚色でした。しかし、長く観て来たこのシリーズの中で、この作品は、私に今までで一番の感動を与えてくれました。心が震えました。なんという素晴らしい脚本家、そして監督でしょう。心からの拍手を送りたいと思います。その緻密な物語構成には、本当に驚きました。そして、納得させられました。ラストシーンでは、雪の上を歩いて行くポワロを演じるデビッド・スーシェの迫真の演技に、涙しました(いつもの彼とのあまりの違いに、俳優という仕事の凄さを見せてもらった思いがします)。脚色の意図についてですが、私は同じポワロ物の『愛国殺人』の原作を思い出しました。ラスト近く、ポワロが犯人に対して、自身の信念を語る場面があります。これは私の勝手な想像なのですが、その場面を、この『オリエント急行』の監督と脚本家は、強く意識したのではないでしょうか。現代だからなされた解釈なのではなく、クリスティーはその晩年において、すでにその境地にあったのです。この新版『オリエント急行』は、私にとって忘れ難い傑作となりました。本当に素晴らしいドラマを観せてもらいました。 (ただ、この作品はテーマといい描写といい、とても宗教色の濃い内容になっているので、観る側にキリスト教やイスラム教に関する少々の知識が必要かも知れません。それがないと、今何が起こっているのか、何が議論されているのかが分からなくなる恐れがあります。特に、キリスト教文化圏に暮らす人々が何を苦しみ、何に葛藤しながら生きて来たのかを理解していないと、難しいものになってしまうのでは、と思います。)
オリエント急行殺人事件 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
絢爛豪華なオールスター・キャストで魅せる、クリスティーの代表作。
待ちに待ったワードスクリーンのDVD初リリースです。とても嬉しい。
こんなに大勢の大スターが挙って参加している映画は滅多にありません。
ローレン・バコール、イングリッド・バーグマン、ジャクリーン・ビセット、
ショーン・コネリー、アンソニー・パーキンス、アルバート・フィニー、
マーチン・バルサム、リチャード・ウィドマーク、、、などなど。
バーグマンはこの映画でアカデミー賞最優秀助演女優賞を獲得しました。訛った片言の英語しか話せない、臆病でお人良しの宣教師の役柄で、珍奇で妙にクセのある女性を、他のスター達に混じって楽しそうに演じています。欧米では公開当時、彼女が画面に出てくる度に劇場内に笑いが起こったそうです。それまでの“スター”のイメージを根底から引っくり返してしまったからです。また、英国劇壇の名優として「サー」や「デイム」の称号を持つお二人、ジョン・ギールガッド、ウェンディー・ヒラーの貫禄の演技も見逃せません。
監督は「12人の怒れる男」のシドニー・ルメット。この監督の映画に出た役者は、必ずアカデミー賞を獲得すると言われた社会派の名匠です。撮影は「2001年宇宙の旅」のジェフリー・アンスワース。音楽、美術、衣装、小道具、メイクアップの全てが豪奢な虚構の世界に華を添えます。
エキゾチックでエレガントで、社交的な雰囲気もタップリのオリエント急行。“おせち料理”の様なギュウギュウ詰めの感はありますが、、、それがまた楽しい映画なのです。
オリエント急行殺人事件 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
原作のイメージを損なわせない映像 豪華キャスト 始まりから終わりまで見るものを惹きつける内容 見てるだけで 自分もオリエント急行の乗客になったような…そんな洒落た推理映画です。 さて…星が一個足りません…その理由は… 時間です… 原作ファンとしては…もっと各登場人物の詳しい説明や殺人までの周りの方の情景とか…
もう…話省きすぎです…
でも…仕方がないのでしょうね… 実際 原作に忠実に映像化すると三時間は超えますものね… しかしアガサクリスティーの気品あふれるフインキは ばっちり伝わり 原作ファンも納得の映像化で古さを感じない…いや…そのレトロさが、またいい味だしてました。トリックも洒落ているし…ラストも粋!
蛇足だが、このポアロの粋な計らい 是非コナン君も学んで欲しい…
名探偵ポワロ 完全版 DVD-BOX 1
アガサ・クリスティーの有名作品ポアロシリーズの完全版。
ポアロの人物像を徹底研究したといわれるデビット・スーシェの魅力が光ります。日本では放送されなかった英国完全版を収録し、今まで以上に各々のキャラクターの人間味を垣間見ることができ、ファンには必見です。
本作品は、英語で見ることもさることながら日本語の吹き替えもすばらしく、今まで字幕のみだったところにも日本語が入ったなんてうれしい限りです。
Murder on the Orient Express
アガサ・クリスティ原作、シドニー・ルメット監督、オールスターキャストの1974年ミステリー映画のサントラ盤。
そのデジタルリマスタリング盤CDの輸入盤です!音が良いです!
一新されたライナーノーツには、2002年10月の作曲者ベネット自身による2ページ分のコメント、解説、キャスト写真などを掲載。
(もちろん英語、全8ページ)
豪華なオールスター映画にふさわしく、'30年代の雰囲気を表現したピアノとオーケストラによるドラマチックな序曲から
冒頭の事件と新聞記事のフラッシュバックへと続く「1.序曲と誘拐」、
優雅な列車の旅を「ワルツ」で表現した、発車シーンの曲「3.オリエント急行」(The Orient Express)や
「5.間奏曲」(Entr'acte)などが素晴らしい。
1974年のアカデミー賞作曲賞にもノミネートされました。
映画DVDの映像特典で、作曲のベネットが出演し、当時のエピソードを話していましたが…。
それによると、作曲前にはミステリーらしい恐ろしい曲調や、列車のリズムや音を曲にすることも考えたらしいのですが
(「007ロシアより愛をこめて」でジョン・バリーは、オリエント急行の曲を列車のリズムで書いていた)、
結局、オールスターによる一流の娯楽作品であることも踏まえて、豪華で優雅な列車の旅を「ワルツ」で表現したと語っています。
本映画をヒッチコックが観た際に、何で音楽が「恐怖」を表現するものではないのか、と怒ったそうです。(ヒッチらしい)