夜の蝶 [DVD]
吉村公三郎監督には「夜の〜」というタイトルが3つあり、これはその二つ目です。水商売の世界を描き、女の戦いを描く風俗もの。亡くなった船越英二の代表作の一つとしてテレビにスティール写真が何度も出ていました。
なお、クレジット表示にはないですが、田宮二郎が楽士役で登場します。台詞もちゃんとあります。当時まだ柴田吾郎と名乗っていました。
あとは「夜の素顔」もDVDにして欲しいです。これだけスコープ画面で内容は舞踊の世界でした。
人情話松太郎 (文春文庫)
天才子役から大女優として銀幕で活躍した高峰秀子と、謎の出生で貧しさから這い上がり、戦後の劇作家、「愛染かつら」などの多数の映画の脚本を手がけ、小説家として活躍した川口松太郎。世代は違いますが、旧知の仲である2人が色んな事を喋っている読んでいて胸がスッとするような内容です。
特に秀逸だったのは、生前の川口松太郎が息子故・川口浩に言った「嫌いな連中には葬式には来てほしくないから、参列して欲しい人の名前だけ生前に書いておくのでそれ以外の奴は来ちゃいけねぇ」のくだりや森光子の「放浪記」の作者林富美子との暖かな会話の想い出や、また高峰秀子の提案で、成人になったら1年間ボランティアをやって、違う環境の人達と交流し思いやりの心を育(はぐ)んでいくという、実践したら良いと思えるような事も語られています。
それにしても川口松太郎の残した小説などが絶版になっているのは惜しい限りです。「歌舞伎役者」という小説は、江戸っ子の幼馴染が1人が歌舞伎役者にもう1人は小説家になるという友情の話で、これはほぼ実話で、悩んでいる歌舞伎役者志望の少年に、「大幸福じゃないか」と励ます小説家志望の少年。「大幸福」こういう豊な精神を持った人達が生きていた時代があったという事に感嘆するのみです。読みやすい文体なので関心のある方はオークションや図書館などで捜してみたらいかがでしょうか?
(005)音 (百年文庫)
ポプラ社はどうかしたとしか思えない。
水嶋ヒロですっかり有名になったけど、その前から賞金2000万という破格の賞金をかけて小説を募集するわ、本にしたそれはあまり話題にならないわ、「忍たま乱太郎」は実写映画になるわ、「おまえうまそうだな」はアニメになるわ、そしてこの新しいレーベルの発行だ。
なんと一挙50巻、2011年までに地デジ化…じゃなくて、毎月発行して100巻とのことです。
思い切ったー!!!
初版は6500セットだそうです。
うち半分くらいは日販、トーハン、大阪屋の取次3社が買い取ったということで公共・学校図書館に配布されるらしい。
1冊750円。
この電子書籍ブームに真っ向から戦いを挑んだ、って感じで、書店の店先に燦然と並ぶ白い表紙たちを見ると、これを機会に書籍も元気づいてくれればなあと願わずにはいられません。
装丁は漢字1文字でお洒落。静かな迫力に満ちています。
しかし漢字って力あるよね。必ずどの字かは気になるもの。
実はこの白いカバーの下はすべて装丁が違うのですよ。版画のイラストがついている。集めるのも楽しくなる。
そして、なんといっても特筆すべきはその中身。
短編が三冊入っているんだけど、よくこれだけタイトルにぴったりな話を集めたな、と。
私は幸田文が気になったので彼女の入っている「音」という本を買ったんだけど、幸田文の「台所の音」という話は確かに音が主人公。文章では聞こえてこない音が耳の奥で聞こえてくる、その音の表現の見事さ。
そして驚くのはほかの二作。高浜虚子、川口松太郎という作家の作品では音は主役ではなく脇役だけど、非常に重要な役どころ、よくこれをもってきたな、と感心する。
選者は5人の編集者が5年間を費やして国内外の文学作品およそ2万5000冊を読破して選んだもの。つまり一人1年1000冊。仕事しながらよく読んだ!
収められている作品は「文学」の名にふさわしく、まさしく100年200年と読みついでほしい。
文字も大きく読みやすくとっつきやすいので、ふっと何か読みたいけど何を読めばいいかわからないってときはこの百年文庫の中から一冊、目を閉じて選んでほしい。
ただ大きさがちょっと微妙なので書店員さんがカバーをかけるのがむずかしそうだった。
名刀美女丸 [DVD]
刀鍛治の清音(花柳章太郎)は、孤児だった自分を本当の息子のように育てて
くれた小野田小左衛門(大矢市次郎)のために刀を作る。ところが、藩の公務
中に暴漢に襲われた際、その刀が折れ、小野田は、謹慎を命じられてしまう。
さらには、同僚の男が、小野田の娘、笹枝(山田五十鈴)との結婚と引き換えに、
小野田の謹慎を解くと持ちかけたことで言い争いになり、挙句斬られる。小野
田の死が、すべて自分の作った刀にあると自責の念にかられた清音は、一
時自暴自棄になるが、仇討をしたいという笹枝に励まされ、精根を込めて新
しい刀を作る。
溝口健二が、終戦の年に作った芸道的要素を含んだ時代劇。製作をマキノ正
博、脚本を川口松太郎というビッグ・ネームが担当している。後年、溝口自身
は、戦時のゴタゴタ中に短期間で作られものであり、「今更いうことないね」
と素っ気なく語っているが、短いながらも、きちっとまとまったプログラム・ピク
チャーだ。
恵まれない製作環境にもかかわらず(国による内容の審査、限定的な生フィル
ム配給や人材の不足など)、溝口作品らしい美しいフォルムの逸品に仕上がっ
ている。お得意の長廻しの演出が何と言っても印象深い。清音と弟弟子(そこ
に、笹枝の幻も加わる)が、ひたすら鋼を熱し、刀を叩き延ばしていく鬼気迫る
場面の精神的高揚(プロパガンダ的目的を超えて美しい)、ラストの長い横移
動の仇討場面の流麗なダイナミズム…。まさに、溝口演出の独壇場だ。クロ
ーズアップを嫌う溝口なので、残念ながら、可憐な山田五十鈴(撮影時28歳)
の美しい顔は拝めないが、フルショットの立ち居振る舞いからは、凛とした美
しさが滲み出している。
本DVDは、16mm原版より、HDテレシネ、レストアされたマスターを使用。16
mmということで(35mm原版は残存していない)、若干、輪郭のシャープさには
欠けるが、キズ、コマ飛びなどが一切なく、時代を考えると驚異的な画質だ。
音声も若干、こもるような箇所もあるが、総じて明瞭。特典には、新藤兼人監
督のインタビューが収められており、本作と溝口という人間を語っている。
日蓮 [DVD]
何回となく観ている内に気がついたのですが日々ニュ−ス等で見聞きする事件がそのまま画像に時代は違いますが、起こり現れるので驚きです!東北の大震災さながらこの映画の中では正嘉の大地震が起こりいつの世も苦しむのは民で幕府は民の苦しみがわからずにいる・・・今の政治とも良く似ていると思います!非常に必見の一品と思います。