ベスト・クラシック100 2
クラシック音楽に興味を持っていて、どんな曲や魅力があるのかを「聴いて」知りたい人にとっては、本作品は良い選択肢だ。
というのも、3,000円程度の出費で、クラシック音楽の代表的な楽曲が100曲も楽しめるからだ。
それらの曲の多くは、学校の音楽の授業、テレビCMや映画、ドラマのBGMとして聞いたことのあるもので、かつ、アルバム自体も、楽曲を奏でる各楽器の魅力やクラシック音楽そのものの魅力を体験できるように編成されている。もちろん、モーツァルト、ワーグナー、ベートーヴェンら著名作曲家はほぼ漏らさず網羅されている。しかも、6枚目には、彼らに関する勉強ができるPC用コンテンツが収録されているおまけつきだ。
また、業界でも定評のあるEMIが手がけた作品なので、コンテンツの質にも不安はない。
総じて、本作品は、クラシック音楽初心者の入門用として好適と判断できるが、気軽に楽しめる上質なBGMとして使うのも一興だろう。
スプリット―存在をめぐるまなざし歌手と武術家と精神科医の出会い
鼎談をしている3人はいずれもボロボロで強く、また弱く生きてきたエピソードを話している。
とても丁寧な言葉を使い、また切実なので伝えたいことがじわりと体に浸透してくる感じがする。
それは、彼らの特異な体験を、読者に対して少しでも正確に伝わるよう苦心しているからだと思う。
ただ、わたしにとって残念なのは、一番興味を持った「体を割る」という言葉の説明が少し伝わりにくかったことだ。
しかし、それを差し引いても、この本の全編に渡って背後に漂っている、
暗くドロドロしたオーラを感じる価値は十二分にあると思う。
これは勇気を得ることのできる貴重な一冊だと思った。
ベスト・オブ・カルメン・マキ&OZ
高校生の頃、日本のハードロックの双璧が、クリエイションとマキオズでした。当時は、マキのボーカルと春日博文のギターが売り、といったイメージでしたが、今改めてこのベスト盤を聴き、マキオズはやっぱり凄い、日本のハードロック史上の誇りだ、とまで思っています。このバンドが他のハードロックと一線を画しているのは、なんと言っても詞です。恋愛とかではなく、風景、季節、日常、どちらかというとフォークの世界のような詞に、ドラマチックな構成の曲、ハードで時にはストイックな演奏とアレンジ、表現豊かなボーカル、と非の打ち所が有りません。「私は風」は、とりわけスタンダードになりうる、マキオズの傑作だと思います。多くの人にこの素晴らしさを知ってほしい。
ROOTS MUSIC DVD COLLECTION VOL.4 カルメン・マキ
マキさんがバラエティ的に話したりしている映像はほとんど見かけません。ご自身でもおっしゃるとおり「TV嫌い」だからなのでしょう。ではなぜTVが嫌いなのでしょうか?この質問に対する答えの一つがこのDVD には在るように思われます。それは、あくまで勝手な仮説ですが、インタビューの受け答えが苦手ということです。このDVDをご覧頂くとよくご理解頂けると思うのですが、マキさんは、質問に対して愛想良くペラペラと話すタイプではないようです。言葉を選ぼうとする慎重な態度からか、どちらかといえば「口が重い」ようです。
まあマキさんでしたら「しゃべくりなんかで評判をとるくらいなら歌そのもので勝負でしょ?」とお考えになるのは当然に思われるのですが、このDVDもまさにそれを地で行っているようです。口の重さとは対照的(?)に、歌唱力は全く衰えを知らず、その歌うお姿には年齢を超越したシンガーとしての普遍的な「美」があります。
ご自身でも冒頭に「発展途上です」と言っておられますが、それは「進化」と言い換えてもよいのでは?現在も「進化」と続けていらっしゃるカルメン・マキさんの、これは「途中経過」の大変貴重な映像です。