新しい薬をどう創るか―創薬研究の最前線 (ブルーバックス)
新薬開発の方法論、具体例を、大学の教授陣が最新の情報を交えて分かりやすくまとめた一冊。それぞれの研究からの最新の創薬の話は大変面白い。難しい理論も平易簡潔に、との気配りが感じられ、流石、大学で教えることのプロが書いていると思わせる。
著者が「京都大学大学院薬学研究科」となっていて、あとがきには「薬学部に研究に来て欲しい」というような執筆動機が書かれている。薬学部によい人材が来るように、との「薬学部大宣伝」本のようである。高校程度の知識で読むには少し難しいか、という感じもするが、執筆者たちの「意気」は伝わるだろう。
最近の「創薬」の考え方、現状など、良く書かれて各論は面白い。しかし読み進むにつれ、成功した話が多いのが少し気になった。魅力的な話でひきつけることも大事だけれど、「こういう危険性が明らかになったので規制ができた」などの研究で明らかになったマイナスの知識などもやはりきちんと紹介した方が信頼度も上がると思う。
薬を「創り出す」過程では医学の観点も必要だろうし、「製品化」の部分では企業が分担している部分もあるだろう。「創薬」という分野全体のなかでの薬学部としての観点、分担はどうなのか。薬学部だからこそできることはこれだ、ということはなんだろうか。このあたりがもう少しはっきり書かれていれば、「薬学部で創薬を」との本書執筆意図ももっと達成されただろうと思ったのだがどうだろうか。
ともあれ、「創薬」の面白さ、考え方はそれぞれの執筆者の文章から充分伝わってくる。この本で「薬を創ってみたい」と魅力を感じる人はたくさんいるに違いない。工学部に行くか、理学部の化学に行くか、医学部を選択するか、それはどうとも言えない気がするけれども。
胸部X線診断に自信がつく本 (「ジェネラリスト・マスターズ」シリーズ 1)
医学部の学生として、まだ国試の勉強もあまり初めておらず時間のあるうちに胸部X線を少しでも読めるようになりたいと思って読んでみました。
この本を読む前に、フェルソンの「読める!胸部X線写真」を読んで基礎知識を得ていたのですが、
本書はくどすぎないが丁寧な説明・豊富なX線画像そこそこレベルの高い症例 を兼ね備えており、
非常に勉強になりました。
本書を読んだすぐ後に呼吸器内科のポリクリでX線読影の授業があったのですが、
おかげ様でかなり役に立ちました。
また忘れてきた頃に、何回でも読みなおそうと思える本です。
今回得た読影力は研修医になってからも役に立つと思います。
DVDでよくわかる はじめてのアロマテラピー
この本のいいところは、精油ごとのレシピが充実していること!普通は悩みや症状別のレシピという形で分類している本が多いのですが、この本は精油ごとに分類しているので、「今日はこの精油をメインにブレンドしたいな〜」というときに大変便利です。もちろん巻末に悩みや症状別の索引もあるので、そこからレシピを探すのも簡単。さらに、月桃やヒバなど和の精油をいくつか紹介してあるところも珍しい。DVDもかなり充実していて(特にマッサージの仕方)、持っているとかなり使える一冊です。
いまさら誰にも聞けない医学統計の基礎のキソ 第1巻 まずは統計アレルギーを克服しよう! (Dr.あさいのこっそりマスターシリーズ)
Lancetなどを読むうえでどうしても統計を勉強する必要が出てきたため、初心者に適切な本を探していたところこの本に出会いました。
信頼区間、P値、標準偏差・・・
一体何のためにこんなものが存在するのか、という「なぜ?」を実用という視点から簡潔かつ的確に解説している点が実に素晴らしいと思いました。
医療統計と聞いただけで拒絶反応が出るような方も、最初にこの本に出会っていたらそこまで症状がこじれることもなかったのでは?とさえ感じられました。最初は160ページで3000円は少し高いような気もしましたが、結果的には十分納得のいく値段だと思いました。