九十九怪談 第三夜
一話が2〜3頁程度・合計九十九話から成る実話怪談です。
(ただし,ナンバーが振られていない一話があり,これを含めると‘百物語’になります。)
木原氏の織りなす実話怪談は,もはや一つのジャンルを構成すると言っても過言ではないでしょう。
創作怪談でない分,採話・構成の力量が作品の質に大きく関わりますが,毎度,期待を裏切りません。
何気ない日常にほんの少しの亀裂が生じたかのように起こる,説明できないことがら。
体験してしまった当人の困惑。
説明のつかないもどかしさ。
そのような,何とも居心地の悪い感覚を読者に感じさせることが,逆説的ながら本書の最大の魅力といえると思います。
ただ,個人的な欲を言えば,著者の「あとがき」を読んでみたいです。執筆の最中に起こった怪異や後日譚なども知りたいというのが読者の偽らざる要望ではないかと思うのです。
本作には,不思議ではあるが怪異譚とまでは言えないものも少数ながら採用されており,これは評価が分かれるところだと思います。
また,「身の毛もよだつ恐怖譚」はほとんどないので,それを期待する方には向きません。
以上の意味で,星を4つと評価しました。
怪談実話系 書き下ろし怪談文芸競作集 (MF文庫ダ・ヴィンチ)
京極夏彦の「成人」がいい雰囲気。
実話系怪談のテイストに、退廃とエロスを折り込んでいます。
これはお勧めです。
福澤徹三「見知らぬ女」は福澤怪談の王道。
水商売の世界でもがく人間の末路を侘しく描いています。
その他、
中山市郎の「怪談BAR」、
立原透耶「つきまとうもの」、
木原浩勝「後を頼む」の三作は、
ずばり新耳袋タッチで、
実話怪談のお好きな方にはたまりません。
お勧めです。
新耳袋―現代百物語〈第6夜〉 (角川文庫)
リアリティありすぎ!ひとつひとつの話は、とても短いですし、派手な展開もほとんどありません。実際に体験された人の話を集めただけあって、非常にリアルです。夜中に読んでると、もうトイレには行けなくなります。朝まで寝られなくなります。ほんと~に怖いです。
九十九怪談 第四夜
毎年1冊のペースで刊行されるシリーズです。前シリーズ新耳袋を含めると10年以上なります。
百物語にならないよう九十九話でになっていて、一晩で読んでも大丈夫(?に)なってます。
1話1話は短いので手軽に読めます。怖い話だけではなく、不思議な話もあり怪談の入門書かな。