ジキル博士とハイド氏 (ユニバーサル・セレクション2008年第5弾) 【初回生産限定】 [DVD]
とにかくこの有名な書籍の映画化第一号は、1930年代の作品となる。特撮とかそういうものに関しては流石に古臭い。
しかしね、程よい緊張感があってよかったと思います。話の内容はとっぴなんですけど、こういう形で人間の二面性に迫るというのは、実は非常に面白いんじゃないかと思います。原作書いた方すごいですね。
実際に変身する、あるいは変態する作品というのは大いに人間の二面性、明と暗を深くえぐるように出来ているのでしょう。
すこしダレた状態で視聴しましたが、ラスト15分の緊迫感、あるいは緊張感は本物の名画の迫力なのだろうと思います。
ジーキル博士とハイド氏 (新潮文庫)
ジキルとハイド、とは二重人格的な、という形容詞のようにも使われる言葉ですが、この小説は、多重人格が解離性同一性障害などの名前で一般にも知られるようになるかなり前の、1886年の作品です。いわゆる多重人格の小説ではなく、ロンドンを舞台とした一流の19世紀末怪奇小説と思ったほうが良いでしょう。何より、臨場感あふれる構成のため、物語に入り込み主人公と共にこの事件の顛末を見届けるような気持ちで読むことが出来ます。
誰の心にもある二面性、信頼される優しさや利己的な残酷さなど、表裏一体のそれを、無理に切り離さざるを得なかった愚かしさとそれに続く悲劇が、謎を読み解いた後には心に残ります。もしかするとスティーヴンソンは、総ての人の心に棲む邪悪なハイド氏を認めず自分から切り捨し自由にさせるのでなく、彼を馴致しつつどうにか彼と共に歩まねばならないのだと、それがほんとうに必要な人間性というものであるのだと、この衝撃的な物語を通じて訴えたかったのかもしれません。
ジキル博士とハイド氏 (創元推理文庫)
ジキル博士とハイド氏といえば、もう二重人格の代名詞にまでなっているが、数々の小説や映画などにパロディとして取り上げられたり、各国のクリエーター達に多大な影響を与えたりした筋金入りの名作でもある。
優秀な弁護士アタスンの親友である医学博士兼、教会法博士兼、法学博士兼、王立協会会員のヘンリー・ジキルと、そのジキルに擁護されている醜怪で誰もが嫌悪感を覚えるような容貌のエドーワード・ハイド。弁護士アタスンは友人ジキルから自分が死亡および三ヶ月以上に及ぶ失踪の場合に、その遺産を全てハイドに委譲するという奇妙な遺言書を受け取って、不審に思う。ハイドとは何者か? また友人ジキルとはどういう関係なのか? そのような疑問のなか物語は展開していく。訳もGOOD。しかも表紙もカッコイイ! これは是非買って読むべきでしょう。
ジキル博士とハイド氏 コレクターズ・エディション [DVD]
ジキハイ・ファンとしては必携の古典カップリング。32年版(ルーベン・マムーリアン監督)は、当時はやりの怪物モノとしてのジキハイ。41年版(ビクターフレミング監督)はイングリト・バーグマンのおかげで心理モノに発展している。ジキハイの原点が見える。一人の人間が、一つの心に合わせ持つ良心と残虐性を、エリートと下層階級の女性の関係に描いて見事だ。薬など無くても人間はジキハイなのですよ。
ジーキル博士とハイド氏 (岩波文庫)
「善」と「悪」のはざま苦しむジーキル博士。
理性ではわかっていても、「悪」の魅力にひかれるのは、
ジーキル博士だけではないであろう。
人はだれでも、「悪」をしてみたいという願望がある。
この作品を読んでいなくても、
「ジキルとハイド」という通称は
多重人格という代名詞で知れ渡っている。
これは、人の「悪」への願望のためではないだろうか。