エレガンスの流儀
2009年10月に亡くなった音楽家であり、稀代のスタイリスト(洒落者)であった加藤さんが、99年から約1年半に渡って男性誌「GQ」に連載していたエッセイ。
音楽家である加藤さんの話も読めるのかと思っていたがさにあらず。内容はほぼ英国的ライフスタイル、英国服のことなのであります。したがって新たな「ヨーロッパ退屈日記」を期待すると失望します。(作家の景山民夫氏を執事に仕立ててロールスを買いに行くエピソードは伊丹さんぽいが…これは景山さんのエッセイにもあった)ちなみに単なる「男の服装術」とは異なる。これは金もかかるが(レコード会社からは法外な金ををふんだくったと揶揄もされているが、ナニ素人経営者が悪い)、痩せ我慢の極致でもある。
服装に興味の薄い人にはまったく面白くない本だろう。しかし、「神は細部に宿る」の通り(?)ここまで徹底してやるのが「男の美学」なんだなぁ、という事がわかる。今「男の美学」とか「矜持」というものは(笑)としか捉えられないが。そして、美学をつらぬけなくなった加藤さんはああいう最期を遂げるしかなくなったのか。合掌。
加藤和彦ラスト・メッセージ
読み始めた頃は「大したことは書いてなさそう」と思った。読み終わってみて思うことは、メッセージと呼べるメッセージが語られていないことこそが強いメッセージなんじゃないか、ってこと。君らの欲しいメッセージはもう歌ってあるよと。大切なのは手つきでありテイスト。誰かみたいに安っぽい政治プロパガンダに利用されるようなものを言葉で語るなんてあり得ない。そして安っぽいマスコミは彼を語る言葉を見つけられない。
「今日は晴れて良い日だ。こんな日に消えられるなんて素敵ではないか」
と始まる遺書の全文(写真)掲載。一見の価値あり。
ミカバンド1st.とハイベイビーのジャケ写が逆になっているのが残念。
黒船
元フォーク・クルセダーズの中心メンバー、加藤和彦さんが結成した日本を代表するロックバンドのセカンドアルバムです。1974年発売。フォークル時代を知る人はある年代以上の方に限定されると思いますが、このミカバンドの代表曲「タイムマシンにお願い」は木村カエラや奥田民生などがカバーしているので、「聴いたことがある」という世代は結構多いはずです。サディスティック・ミカ・バンドというネーミングは、言うまでもなく小野ヨーコによる「プラスティック・オノ・バンド」をもじったものであり、前出のフォーク・クルセダーズも「ジャズ・クルセダーズ」をもじったものです。
よく言われることですが、ファーストアルバム「サディスティック・ミカ・バンド」は日本では全く売れませんでしたが、イギリスのプロデューサーがなぜか気に入ってイギリスに渡って作成されたのがこの作品です。メンバーは高中正義、小原礼、つのだ★ひろ、加藤ミカが初期メンバーで、のちにメンバーチェンジを経て元YMOの高橋幸弘や後藤次利(元おにゃん子クラブの河合その子の旦那)などが加わっています。
いま改めて聴き直しても新鮮味はまったく衰えませんが、想像するに彼らの音楽は当時の日本では斬新過ぎて受け入れられなかったのだと思います。折しも当時の日本は一大フォークブームだったことも不運でした。ミカバンドが行ったロンドン公演がけっこう評判を呼び、それが日本へ逆輸入の形になりました。
いまなお語り継がれるミカバンドの功績ですが、高中正義、小原礼、高橋幸弘、後藤次利などを起用し、世に送り出したプロデュース能力も卓越したものを感じます。このプロデュース能力はベッツィ&クリス「白い色は恋人の色」、泉谷しげる「春夏秋冬」、吉田拓郎「結婚しようよ」などの名曲誕生へと結びついています。また、ロンドン滞在中にライブでのPA装置に感動し、PAを日本の音楽シーンに初めて持ち込んだのも加藤和彦さんです。
そんな加藤さんが自らの命を絶ったことは、日本の音楽界にとって大きな損失であることは間違いありません。加藤さんの功績をあらためて讃えるとともに、ご冥福をお祈りいたします。
サディスティック・ミカ・バンド [DVD]
かつてトノバンはミカバンドのことを「単なる酒飲み集団だよ」と言ったことがある。このDVD(特に特典ディスク)を見ながら、確かにその通りだと思ったが、そこにはまた別の意味が含意されていることに気付く。つまり、
人間として相互に尊重・信頼し合えるかどうか、そこにバンドとしての命があるということ。
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とにかく特典ディスクがよろしい。
レコーディング合宿の模様、PV撮影の舞台裏、コンサートリハーサル。
メンバーの素顔、完成前の音、本番で聴けなかった音、ユキヒロの衝撃の頭(鶴太郎)、sockernosをアコギで伴奏、コンピュータによる音程補正を暴露、アコギの微妙なフィンガーピッキング、原初音の「Narkissos」、「ヨッパライ」にこだわる高中、「これからは酒も抑え気味にいかないと」「俺も」「そりゃ嘘だ」(相互に尊重・信頼してる)、普段着のカエラ、言葉遣いが大人なカエラ、意外と音痴なカエラ(実力とは関係ないけど。あの曲はメジャーとマイナーが交錯するもんね)、カエラの歌入れにコック姿で現れるトノバン、太白ごま油、皆が朝食を食べているときに調理に専念するトノバン、アコギ一本でbig-bang(当初はコード進行が違っていたことがわかる)、「トノバン声大きい」に対して大音声の「あ〜た〜し〜は」、カエラが描いた「パブロ的」自画像、トノバンがカエラに英語指導、リハーサル前にトノバンが一杯(10杯かも。どうでもいいけど)、「on D」を忘れる小原、即興でレゲエ版タイムマシン、ユキヒロの手の絆創膏。とにかく楽しそう。遊びの天才、そして究極とも言える余裕! ユキヒロに対するトノバンの気遣いも十分に伝わってくるし、メンバーそれぞれがそれぞれを尊重しているということも見事に伝わってきた。(ユキヒロの十円ハゲはなかったことにします。)
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一方の本編は、、、雑誌のインタビュー記事で十分なような気がするし、何よりも、ミカバンドらしさが感じられないのが残念。滝本さん、力入り過ぎちゃったかな? あれやこれやと策を弄することなく、監督が感じた「ミカバンドらしさ」をストレートに表現して欲しかった。
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それにしても、これだけのメンツを擁しながらも言うかと思った重い重い言葉、トノバンらしいなと思った。
「うまくったって、人は感動しないじゃない」(加藤)
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いずれにせよ、2chでしかわめけない連中は嫉妬に狂うだろう、ふおっふおっふおっ。
BGM:サルバドル・アジェンデ最後の演説(1973.9.11 サンティアゴ・モネダ宮にて)
太陽光発電システムの不具合事例ファイル―PVRessQ!からの現地調査報告
太陽光発電がブームですが、売る側の人も、買う側の人も、この本は絶対読んで下さい!
「太陽光発電はメンテナンスフリー、壊れない」という神話(?)がありますが、
それは真実ではありません。
「太陽光発電も壊れる」ということを、しっかり意識した上で付けないと、後で後悔します。
すべての物は壊れる、これは不変の真理でしょう。
太陽光発電も同様、壊れるのです。
この本によると、調査した太陽光発電システムの「3分の1が、何らかのトラブルを経験している」のです。
壊れるから付けるのをやめた方が良い、と言いたい訳ではありません。
壊れることもあるから、壊れた時にどう対処するかを考えた上で付けましょう、ということです。
つまり、アフターメンテナンスが、とても大事だ、ということですね。