FELA IN THE HOUSE OF SHELTER
今なお影響を与え続けているアフロビートの帝王の楽曲を世界初公認ミックス!それも本人とも縁が深いティミー レジスフォードが全曲手掛けると言うコトだから期待せずにはいられなく、CDが届くのをひたすら待っていました。そして、いざ聴いてみるとテンションは下がっていきました。ティミー痛恨の失敗だと思います。一番の理由はFelaのどす黒いボーカルがトラックに埋没しているコトです。声を全面に出せばもっともっといいトラックになったのに残念です。
MUSIC MAGAZINE増刊 クロス・レヴュー 1981-1989
中村とうようがパブリックエナミーに0点をつけて物議を醸したり、(後日ミュージックマガジン誌上でなんとチャックDと中村とうようの対談が行われた)、ムーンライダーズへのレヴューを巡ってひと悶着あったり(その顛末は鈴木慶一によって本書に記されている)懐かしい限りだが、そうした論争が音楽誌によって展開された頃と、ネットとダウンロードに蹂躙された現在との対比に、紙媒体の時代の終焉を感じて寂寞の念を抱くのは筆者だけであろうか。
そして先だっての今野雄二氏の痛ましい死の後に本書を読むと、氏がいかに自己の感性と美意識に忠実であったかを改めて痛切に感じる。過剰なマーケティングの時代にディレッタントの居場所はもうなかったのか・・・。
ザ・ベスト・オブ・フェラ・クティ<デラックス・サウンド+ヴィジョン> [DVD]
私は彼の音楽はほとんど聴いていなかったので、今回これをお試しとして購入した。CDの選曲は彼の息子であり自身ミュージシャンであるフェミ・クティが行っているようだし、いわゆる「代表曲」が多いようだからいいのだが、英文ライナー(これはこれで悪くはないが)の和訳しかついていず、日本独自の、各曲の出典や彼のバイオグラフィー等について触れた解説がないのは残念。DVDに日本語字幕がないのも、彼のようなミュージシャンの魅力を伝えるためには不十分といわざるを得ない。字幕がなければ、彼のそれなりのファンがDVD目当てにこれを買う、ということもないだろうし。つまり、商品としては中途半端との印象を持ってしまう。これを聴いていいなと思っても、オリジナル・アルバムの日本盤は数年前の再発が店頭から姿を消して以降、手に入りにくくなっているし(それとも、これの売れ行きによって再発を考えてくれているのだろうか)...。もう少し頑張ってほしかった。もっとも、これらのことは、ここに収められた彼の音楽や生きざまの圧倒的パワーとは全く関係のないことではありますが。
Open & Close / Afrodisiac
フェラ・クティの音楽は、日本をはじめ外国ではクラブ・ミュージックとしての側面が強い。それはアフリカ土着のビートにアメリカ黒人音楽の影響を反映させたダンサブルなアレンジがそうさせているのだろうが、実は歌詞は政治的なものが多く、生涯で12回逮捕されています(全て証拠不十分で釈放されているのだが)。
そんな反骨のミュージシャンにして27人もの嫁を持った(ナイジェリアは一夫多妻制)パワフルなミュージシャン、全盛期の作品から溢れるエネルギーには本当に圧倒されてしまいます。
クラブ・サイドからすれば『SHAKARA』『EXPENSIVE SHIT』『ZOMBIE』といった作品が著名だと思いますが、この1972年の作品も実に素晴らしい1枚です。新しいダンスの定義を表顕したタイトル曲『OPEN & CLOSE』はとりわけグルーヴの隙間を埋めるように構築されていくアレンジは圧巻の一言!
余談だが、映画『扉をたたく人』で主人公がシリア系男性からジャンベの叩き方を教わるのだが、『このアルバムは聴かなきゃダメだ』とこのCDをプレゼントされるシーンがあり、「わかってるなあ」と個人的に嬉しかったです。