Medicated Magic
めでたく結成25周年を迎えたダーティー・ダズン・ブラス・バンドが故郷ニューオリンズへの愛情をたっぷり込めて送り出した作品。メンバーのオリジナル以外はすべてニューオリンズに縁のある曲のカバーであります。M4はオーティス・レディングの熱唱で知られる「ペイン・イン・マイ・ハート」の元歌でありますが、この曲が実はニューオリンズが生んだ鬼才、アラン・トゥーサンの手になるものとは、私も本作で初めて知った次第。
何より目を引くのは参加ゲストの華やかさ。先のM4でやけに甘い声で耳朶をくすぐってくれるのが有名になる前のノラ・ジョーンズだったり、M5で老獪音楽妖術師ドクター・ジョンが今さらながらのファンキー宣言をしていたり、M7でベテラン・コルネット奏者にして遅咲きの異文化混交アーティスト、オル・ダラがニューオリンズ的楽天気質全開ソング「ジュンコ・パートナー」を歌っていたり、はたまたM9でジャズ・ヒップホッパー、DJロジックがターンテーブルでキュッキュッ、キュッキュッと裏拍を奏でていたりするのです。
説明するだけでふうと一息つきたくなるほどの客人の豪華さでありますが、それらの曲ではダーティー・ダズン自身の持ち味はちょっぴり薄れているようにも感じられます。天衣無縫ラッパ吹き集団としての彼らの本領を遺憾なく発揮してくれるのは、何といってもシンコペートする素早いテーマをホーン・セクション全員で力一杯吹き鳴らすミーターズのM3であると私は思うのであります。
New Orleans Album
このアルバムで一番痛快なのが、7曲目の「The Monkey」です。
オリジナルを作曲したDave Bartholomewがゲスト参加し、歌とTrumpet Soloを披露するご機嫌なナンバーです。
『人間が、我々猿から進化したなんてとんでもない!』という洒落た歌詞が頭から離れません。
なお、この曲はピーター・バラカンさんも大のお気に入りで、彼の番組でも何度となく取り上げられていました。
What's Going on
昨年、大規模自然災害ハリケーン・カトリーナで大打撃を受けた音楽の聖地の一角、ニューオーリンズから、2006年にすごいのが出て来た。マーヴィン・ゲイ、1971年の大傑作、What's Going Onのフルカヴァー - あの素晴しい音楽の力は、まだ衰えていなかった。ジャズ・ブルーズ・R&B・ソウル・ヒップホップと流れて来た音楽と人のあいだに、こんなすごい力が蓄えられていたんだ。やっぱり音楽には力がある、と再確認。文句なし。
Funeral for a Friend
確かスティーブ・マックイーンの映画「シンシナティ・キッド」の始まりは,ニューオリンズの葬式だった。ブラスバンドが葬列を率い,参列者が一斉にステップを踏むのが,とても印象的だった。本作は,メンバーの1人を亡くしたブラスバンドが,メンバーを追悼するためにつくったゴスペル・アルバムである。ダーティダズンの音楽は,切ないとか楽しいとか,手垢のついた言葉では表現できないニューオリンズ特有の深さ,強さをもつが,本作はそれが特に強くあらわれていて,感動する。死者も生者もステップを踏むマスターピース。
Down & Dirty [DVD] [Import]
DVDが出ているのを知りあまり期待しないで購入しましたが、まずまずの内容でした。
でも音の迫力に欠けると思います。ヴォーカルが無い分、サウンドでの迫力を期待している人にはお勧めしません。
リージョン1となっていますが国内製プレーヤーで再生できました。