MW‐ムウ‐ [DVD]
この作品、脚本だけなら星3つ…がやっと、だろう。だが、脚本の甘さを補って余りある役者たちの素晴らしい演技に星5つをつけさせて頂いた。
玉木宏のテレビドラマ向けの派手な演技は結城のよく美しさを表現していたと思う。
だが、何より素晴らしいのは賀来役の山田孝之だ。
昔から演技が素晴らしい役者だったが、今回の難しい役所をしっかりと演じきっている。
賀来役のキャスティングには賛否両論あるが、原作ファンの私としても正解だと感じる。
というより原作寄りの賀来神父では興行的に難しいものがあるのでは…。
欲を言えばもう少し役者の演技に頼らない(特に神父の苦悩などはほぼ山田氏の演技力に頼りきりだったので)基礎のしっかりした脚本が欲しかった。
K後継―流通革命・男たちのドラマ
自分の信念と良心を貫くことによって職場に巻き起こされる葛藤を描いて感動的です。会社や上司に対して真の意味での誠意を尽くすことが、どれほどの苦難に満ちているか、実体験をした人でなければ書けないと思われる苦渋のドラマが胸を打ちます。最近のベストセラーにつきものの派手な仕掛けやラブシーンはありませんが、中盤からは、骨太な主人公の性格にどっぷりと感情移入、いっきに感動の終幕まで読み進んでしまいました。上司に求められて捧げ尽くした忠誠が、他でもない求めた上司本人によって曲解され裏切られていくという悲劇は、程度の差こそあれ、どんな職場にもつきものでしょうが、そうした悲劇を描いて読者の深い共感を呼ぶ作品だと思います。余談ながら、会社上場に前後する場面の具体性は、小説で読む「会社上場入門」のおもむきもあり、経営の勉強にもなります。武骨な文体が、小手先の技術を超えて普遍的な感動を与えてくれる企業小説として、お薦めの一冊です。
砂時計 スタンダード・エディション [DVD]
本作はまず舞台が素晴らしい。島根県ロケの空気感はノスタルジーの醸成に十二分の効果があったし、何より人のやさしさが琴線に触れる。加えて俳優たちの演技力もこのシャシンの世界に上手くはまっていた。夏帆は本当に田舎風景が似合う女優だな、と(笑)。本当は原宿でスカウトされたのはプロフィールでも明らかだが、とにかく都市よりも山合いを歩くほうがサマになる。原宿ロケもあったが、これまた田舎から出てきた感満点だったし。池松壮亮もさすがハリウッド仕込みだけあり、10代の甘酸っぱい恋を満点の演技で締めた。岡本杏理は所属も夏帆の後輩にあたるが「SMILE」の演技がフロックでないことを証明してみせた。それと藤村志保の鬼気迫る芝居。これがなかったら本作の印象も変わっていただろう。孫役の松下奈緒と抱き合うシーンはまさに「極上」であった。やっぱり「家族」にはおばあちゃんが必要だ、ということ。どこかREMEDIOSを彷彿とさせる音楽もノスタルジー感抜群で、これだけで涙がでてきてしまうぞ。東宝+TBSとしては「小品」の部類かと思うが、これは秀作である。佐藤監督の現在までの仕事でもベスト作だろう。ぜひ観てください。
心中天使 [DVD]
人が誰しも抱える悩み。私はこれでいいのか…こんなもんなのか…何か違う…この人生で間違ってないのか?主人公3人が抱える悩み、ある日、不思議な現象に直面し、自分の何かにきずき始めた三人。しかしその現実を受け入れ歩き出した彼女らに起こる、もう一つの…。淡々と話が進みつつ、クライマックスで、えっ……?と思う。希望?絶望?願望?それとも現実?作品を観た後、ある意味ショックであり、その反面安らぎも感じました。あくまでも映画の中の話ですが、実生活に置き換え考えて、それも悪くないと思える自分の人生って足りてないのかな?でも主人公の郭さんの彼女や、髭のオヤジの運命は御免だけど。尾野真千子さんが魅力的で良かったです。
砂時計 ツイン・エディション (初回生産限定) [DVD]
こちらの作品は、たまにドラマを映画にする必要があるのかという意見も見受けられますが
ドラマを映画化したというより、原作の漫画の部分を大切にして、映画化した作品だと思います。
原作を知っていると端折られてる部分が多いため、物足りなく感じるかもしれませんが
映画なのでグダグダ説明せずにストーリーもヒロインと相手に絞ったのは良かったと思います。
見てて良かったのは、2007年には映画『天然コケッコー』で自然体の演技をしていた夏帆さんの成長した心のこもった演技、
また、映画の『ラストサムライ』や『男たちの大和』、また大河ドラマといった渋い作品で子供ながらも名演技を見せていた池松壮亮さんが、恋愛ものの映画で甘酸っぱい青春時代を演じているのがとても新鮮で、この映画でもさすがの演技を見せていました。
この若い2人の演技をみていると胸が締め付けられるなんともいえない懐かしい切ない気持ちになりました。
少女漫画が原作で、10代のラブストーリーとなると、リアリティの薄い、妄想感覚のお話で終わる映画になりそうなところですが、この2人の心のこもった深い演技が凄く良かった。
また島根の景色がとても綺麗で、行ったこともないのに帰りたいような懐かしい気分になりました。
ツインエディションだと、特典ディスクに本編に収録されてないカットされたコミカルな部分も入っているので、それも面白かったです。
正直なところ、20分長くていいからこのカットされた部分も本編の映画に入れて欲しかったです。