NHKスペシャル 仁淀川 青の神秘 [Blu-ray]
とにかく、映像が美しい。
昔はたくさんあったであろう、美しい川の風景。
澄み切た、「青」を生み出す山や雪解け水。
蛍の淡い光の風景。
ところどころに紡がれる、写真家 高橋宣之さんの言葉。
懐かしい風景の中に、最先端のハイスピードカメラで捉えた水の流れ。
滝を造る水の生まれる瞬間や、波の生まれる瞬間、落ち葉の流れ落ちる瞬間を自分の目で見ることが出来る。
素晴らしい映像だと思います。
音楽は、高木正勝さん。
テレビ放送の時と違い、高木さんの懐かしく温かいピアノの音色がふんだんに使われています。
以前はアマゾンさんのMP3でアルバムを購入できましたが、今は出来ないのかな?
こちらもCDを発売して欲しいです。
今回の撮影のメイキングも収録されていています。
水・川・青が好きな方は是非一度ご覧になってはいかがでしょう。
仁淀川 (新潮文庫)
この小説の主人公は、なんとなく、ふわふわと生きており、生きるための気迫を感じ難かったように想います。
文句をいいながらも親に頼り、夫に頼り、姑に頼りと、自立した女性というよりも、いつまでも子どものような主人公には共感しかねます。
しかし、母親と娘と嫁との関係、母親と娘との想いはしっかりと伝わってきました。
実の娘には家の者さえ食べることのできない秘蔵の鶏卵を食べさせ、数年越しでも嫁入り道具をもたせたいという母親の姿は心打たれるシーンでした。
それをみた主人公が自分の母親の元へ走る場面は、嫁いだ娘と嫁との立場の違いをあらわしていて、とても印象に残ります。
流れるようなストーリーにひきこまれ、最後まで一気に読んでしまいました。ぜひ続きが読みたくなる一作です。
仁淀川
冒頭に敗戦で乞食同然の姿で満洲より引揚げて来た綾子が、清冽な仁淀川の水の豊かさを見て、満州の水の汚さ、少なさと対比して感動に立ち尽くす場面は印象的だ。
厳しい父岩伍から逃れたい一心で夫に従い満州に渡ったのだが、引揚げまでの苦労は極限状態で、帰って来て岩伍にもう我儘は言わず何でも働くと誓い、反発していた気持ちに変化を見せる。
だが今度の物語では夫要の実家である山間部の農村が中心となり、田舎の因習の深さとそこで生きる姑いちのたくましさの前では、吹けば飛ぶよな存在である事を思い知る。
良きにつけ悪しきにつけ実の子ではない綾子に、強い影響を及ぼした父岩伍と母喜和だったが、最後には相次いで亡くなると悲しみの後は、呪縛から解き放たれた綾子は伸び伸びと羽ばたける気持ちになる。
「櫂」→「春燈」→「朱夏」→「仁淀川」と続いた綾子が主人公の宮尾登美子の自伝小説はこの先離婚、上京と作家への道が暗示されるが、人の事を書く以上、自分のこともさらけ出さねばという決心で書き始めたという思いが伝わり、綾子の更なる物語を期待してしまったのは私だけだろうか。