犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題 (カッパ・ノベルス)
一つひとつの謎解きが、ページ数の問題なのか、最後にさらりと展開されている。凡百の推理ものなら、各々が大部の著作として扱われてもよいようなものである。探偵が右往左往しながら、引っ張ってもよい気がするが、作者の体力問題なのだろうか。
キングを探せ (特別書き下ろし)
たまたま知り合った4人の人物が交換殺人をするという話。
最初の殺人は緊迫感があって、読んでて非常に興奮しました。
が、そのあとの展開は、犯人がボロをだしてしまいそこからずるずると
いってしまう感じでちょっと拍子抜けしました。
たしかに主人公の推理が光る内容ではあるのですが、最後にカタルシスがなく、
あっけなく終わってしまったのが残念でした。
あっといわせるトリックかどうかも人によって評価がわかれるかも。
犯罪ホロスコープ〈1〉六人の女王の問題 (光文社文庫)
エラリイ・クイーンの短編集『犯罪カレンダー』のコンセプトに倣い、黄道
十二星座とギリシャ神話にまつわる謎を名探偵・法月綸太郎が解決して
いくという形式が採られたオーソドックス(あるいはベタ)なミステリ短編集。
本書にはシリーズの前半六編(牡羊座〜乙女座)が収録されているのですが、
パズラーとしての出来映えでは、やはり、雑誌(もしくは夕刊紙)に懸賞付き
犯人当て小説として発表された「ゼウスの息子たち」、「ヒュドラ第十の首」の
二編が抜きんでています(特に、「ゼウスの息子たち」の双子トリックが秀逸)。
星座や神話といった制約のため、ご都合主義的な処理がなされた箇所もある
のですが、収録作品全てに何らかの趣向や読みどころが用意されてもいます。
それに、苦悩から解き放たれた(?)法月綸太郎
の活躍が読めるのは、ファンとしてうれしいところ。
何はともあれ、シリーズ後半の六編全てが執筆
され、一冊にまとめられる日が、待ち遠しいです。
※収録された各短編の内容については「コメント」をご参照下さい。