クマゼミの島 (動物の記録 6)
私は本書を小学校の図書館で読んだのですが、
近年ふと思い出し、再び手にしましたが内容に色あせは全くありませんでした。
香川県坂出市岩黒島の全校生徒わずか十人程度のの岩黒中学校の生徒達と先生が、
謎多きクマゼミの生態を粘り強く3年がかりの観察で解き明かしていく様を、
当時の先生であった島本寿次氏がまとめた物です。
発行は1972年、約40年前と古いのですが、
その観察方法や観察眼には些かの古さも感じられず、
現代でも見習う点は非常に多く、
また、子供達の視点と大人の先生達の視点の差異も読んでいて非常に楽しいです。
本書中にある、
夜間に樹上に懐中電灯をあてると降り注ぐクマゼミの雨霰を浴びての怪獣の断末魔を
是非上げてみたい物と思うのですが、
残念なことに当時の観察地の多くは瀬戸大橋の架橋工事により失われてしまい、
そのダメージは今もなお残り、それも叶わぬ事のようです。
子供を自然に触れさせたい教職員など大人達に向けてお勧めできますが、
小学校高学年以上であれば十分理解できる内容ですので、
子供達にもお勧めできる良書です。