センセイの鞄 (文春文庫)
小説を書く時には、登場人物の生活背景をきちんと書いて、実在の人であるかのように書く…と、昔教わりました。でも、この作品の登場人物は皆、綿菓子みたいにふわふわと儚げです。なのに、それぞれの心のありようが、私にひしひしと押し寄せて来ます。閨秀作家と呼ばれている人達なら、きっと詳しく書くであろう所も書かずにいます。でも、と言うか、だからこそと言うか、とっても濃密な、爽やかな、切ない、飛び切り素敵なレンアイ小説です。
センセイの鞄 [VHS]
パジャマのままセンセイの家へと夜道を走る月子さん。恋って こういうものなんだなあ、、と思います。月子さんが慌てて身支度をするシーンが何ヶ所かありますが、見ている方は何だか楽しいのです。月子さん(小泉今日子)が可愛いからでしょう。ラストシーンもよくできていると思います。月子さんとセンセイの恋愛が軸ですが、人生って一体どういうものなんだろうか、と考えさせられました。
センセイの鞄 [DVD]
川上弘美の原作を、主演:沢田研二・坂井真紀、演出:久世光彦、音楽:cobaで音楽劇に。
作中で引用されるのが伊良子清白から萩原朔太郎になっていたり、センセイが朗らかなキャラクターになっていたりと、浮き世離れした場面を除けて「老境に差し掛かった男と若くない女」の恋物語に焦点を合わせている印象。
個人的には、無礼な若い男のピアスを盗る場面や、ふと意地悪になるセンセイも見たかったのですが。
しかしツキコとセンセイの話に主軸が置かれているからこそ、あの切ないラストシーンがある。
また久世氏らしいコメディ要素も随所にあり、全体がほんのりとあたたかい(それは昭和の香りだろうか)。音楽も当たり前のように舞台に溶け込んでいて良い。
時折取り出して愉しみたいDVD。
センセイの鞄 [DVD]
キャスティングが、全てハマッたと思います。もともと小泉今日子さんのファンで、見たんですが彼女の作品の中でも私の中でダントツです。例えるならじんわり、ほんわか、ほろリデス。泣けました。また見たいと思える作品です。いろんなヒトに見てもらいたい最高の作品です。キョンキョンファンではない友人も何人か見ていてまた見たいと言っていました。泣いたシーンも一緒で同じ作品を見て語れるっていいなって・・・
一人であんな居酒屋に行きたくなりました。ゆったりした恋もいいものだなと思えました。
ああいうカタチもあるんだな・・・
神様 (中公文庫)
9篇の短編の主人公は共通と思われます。童話といっても、現代人である主人公は、毎日会社に行って、決算期には残業したりします。
一読すると、原石の小さなかけらが、ポイッと目の前に投げ出されたような感じがします。後は読者が磨いてね、ということでしょうか。
神について語る昔気質の熊、性生活のトラブルを抱えた河童のカップル、壺の中に生息するギャル風女性、さらには人魚などという荒唐無稽なものを登場させますが、語り口は淡々としています。
個々の話に、何らかの寓意のようなものも感じ取れます。例えば「離さない」では、モノや環境への依存性からの脱却でしょうか。著者の自戒のようにも思えます。
癒しを求める現代人へのアロマテラピー、みたいなものでしょうか。