COBAIN UNSEEN カート・コバーン 知られざる素顔
同著者の伝記本、Heavier than heaven と基本とする内容は同じ。
ただこちらは大型本で、これまで公開されることの無かったとてもプライベートな写真(例えばコートニーの撮影したカートや、カートが撮影したフランシス)や、カートの描いた絵やコレクションなどをたくさん掲載した、Heavier than heaven の写真集バージョンといった感じのもの。
伝記本での、活字という媒体では伝えにくかったもの、カットせざるを得なかったものを写真という媒体の持つ長所を活かして多くの写真と共に伝えていく(活字も多く、写真集ではない)。
曲のタイトルにもなった、コートニーがプレゼントしたHeart-shaped boxやコレクションしていたTシャツ、人形など様々な写真が掲載され、それらの写真を中心にカートのパーソナルなエピソードが語られていく。
そして何と言ってもこの本の一番の特徴は、本の中の所々に組み込まれた仕掛け。
例えばTeen spiritの歌詞が書かれたノートの切れ端(ルーズリーフの紙を1枚本当にちぎったみたいに、ファイルを留める穴が破れている)や、ポラロイド写真(本物さながらで、裏面までポラロイド写真として再現されている)、カートのコレクションしていた お面(実際に顔に装着出来る様、ゴムまで付いている)などが、実物さながらに作り込まれて挟まれている。
全体的にとても凝った内容で、Heavier than heavenを読んで心揺さぶられ ”それでもまだ足りない” と感じるファンにとっては、前出書が奇跡的に優れたものであっただけに、まさに奇跡の一冊。
カートの持っていた独特の美学みたいなものが、写真で見るとまた違った形でよく伝わってくる。
With the lights out(レア音源+レア映像集)と、Heavier than heaven (徹底取材の伝記本)の中間といった位置づけ?
いずれにせよ間違いなく、ディープなファン向けのアイテムと言えると思います。
ただとても凝った作り方に、愛情みたいなものを感じられるので、ディープなカートファンにはとても満足出来る1冊となると思います。
(蛇足ですが、個人的にはWith the lights outにも同じ様な作り手の愛情を感じました。)
著者のCharles R. Crossは本当に優れたドキュメンタリー作家で、何か運命的なちからで、上手く生きられなかったカートの残された仕事を(伝えられるべき物語を伝える)やっているのではないか、などと彼の本を読んでいて思ってしまいました。
以下のサイトから、本の詳しい内容を確認出来ます。
http://www.barks.jp/news/?id=1000055097
HEAVIER THAN HEAVEN―カート・コバーン・バイオグラフィー
今まで多くのカート・コバーン、ニルヴァーナの書籍が発売されてきたがこの本ほど正直に正確にカート・コバーンと向き合った本はなかっただろう。
今までの本の中にはニルヴァーナの関係者の意思とは全く関係ない形で金儲けのためだけに色々な雑誌から記事を切り貼りしただけの物も多かった。そんな状況の中であのコートニー・ラブ(カートの婦人)が作成に協力したというだけで著者の信頼度の高さが窺える。
内容はというと今までにあった様なただ雑誌のダイジェスト的な内容ではなくきちんと関係者に何回も取材をしたりコートニーの許可を得てカートの遺品などから得た情報を元に構成されているとあってとても生々しい。そこがまたカートの人生の激しさを物語っている。中には暴露的な内容もあって最後までルーティンになることなく読みきれる。
もしカートの人生に興味を持った人がいるのならまずはこの本を手にして欲しい。2002年に音源のベスト盤が発売されたがこの本は書籍のベスト版なのだから。
カート&コートニー [DVD]
「カート・コバーンの死」という、誰もが興味をもつ、
しかし故に色々なスキャンダラスな言われ方をする、
ある意味難しい題材に取り組んだドキュメンタリー作品だと思う。
作品中身のストーリー的メリハリをつけるために、
事件に対するコートニーの関わり方を追跡するのは当然のこと。
しかし、コートニーの悪事・悪評そして事件への関与を臭わせる証言を
そのまま鵜呑みにするのではなく、“何故そのような証言をするのか?”
“そのようなことがあった証拠は?”と疑問を持ち、
「自殺説」「他殺説」の両方を検証するところに
この監督・この映画の良さが出ていると思う。
カートの人間関係、幼少期・青年期などの生い立ちなどを調査し、
そこから死の直前の心境を解明しようとししている。
その結果により死の謎を解こうと試みている。
編集により、事件性を感じさせる部分が少し目立ったりはするが、
監督の発する言葉をきちんと追うと、なかなかまともに面白い。