Nothing (Bonus Dvd)
カルト的人気を誇るスウェーデン発のハイパー・プログメタル集団Meshuggah(メシュガー)が2002年に発表した「Nothing」をリミックス&リマスターしたアルバムです。2006年発売。
本稿を書くにあたってオリジナル盤と聴き比べましたが、リマスター効果によって音の分離が格段に向上し、聴きやすくなっています。Meshuggahの作品の中ではもっとも「けたたましい」と言われるこの作品ですが、こうしてクリアーな音質で聴き直すと「そうでもないな」と感じられてくるから不思議です。
解説ではリーダー兼ギタリストのFredrik Thodendal(フレドリック・トーデンダル)がスタジオに篭ってギターパートをレコーディングし直したり、テンポを落としたりと細かな細工を施したとのこと。そこら辺の違いはよく聴き込まないとすぐには分からないと思います(実際、確かにソロパートは明かに違いますが、細かい部分までは判別できません)。そんな暇があったら「早く新作を出せよ!」というのがファン心理なのですが…。
と言いつつ、何と言ってもライブDVDが付いているだけでも、このアルバムを購入する意味があります。2005年イギリス公演でのライブ映像が3曲、ビデオクリップが1曲収録されています。海賊盤以外ではバンド初のオフィシャルDVDになるはずで、「動くMeshuggah」が見られることはもちろん、謎多きFredrik Thodendalの8弦ギタープレイも迫力満点のドアップ映像で迫ってきます。これは超オススメ! カタログでは「PAL方式」などと記載されていて不安ですが、実際はリージョンフリーなので国産のDVDプレイヤーで再生できます。
Obzen
スウェーデンが誇るハイパー・プログメタルバンド「Meshuggah」(メシュガー)による待望の新アルバムです。2008年発売。2005年にリリースの前作「Catch 33」以来、約3年ぶりの6thにあたります。
前作では1枚のアルバムを何と1曲のみで押し通すという“暴挙”に出た彼らですが、今回は全9曲構成になっているので、それなりにコンパクトで聴きやすくなったかというと、もちろん答えは「否」です。複雑怪奇なポリリズムはさらに混迷の度を強め、西洋とも北欧とも東洋ともカテゴライズ不可能な、無国籍なエクストリーム・メタルサウンドが次から次へと襲いかかってきます。初期の作品で聴かれたヤケクソ的な疾走感は前作あたりから急速に影を潜め、よりテクニカルにより無機質に前人未到の境地へと突進する彼らは、タイトルや意味ありげなジャケットデザインから推測されるように「Zen」(禅)の極みまで達してしまったかのようです。だからといって決して音楽自体が落ち着いてしまったわけではなく、聴く者の神経を次第に麻痺させる劇薬ともいえる破壊力満点のポリリズムは、さらに凄みを増した感がします。ジャンルはまるで違いますが、Mデイヴィスの70年代初頭の代表作「On The Corner」で聴かれた麻薬的かつ宗教的なポリリズムと合い通じるものを感じます。
Aホールズワースばりの浮遊感あふれるプレイを聴かせるリーダー兼リードギターのフレドリック・トーデンダルのプレイは、相変わらず変幻自在で、どこから飛んでくるか予測不可能。反則ワザ満載のギタープレイと唯一無比のポリリズムとの相乗効果は、もはや誰もついてくることができない高みまで達してしまったようです。プログメタルファンは言うに及ばず、変態&テクニカル系ギター好きのコアな音楽ファンにも強力推薦の1枚です。
Alive [DVD] [Import]
唯一無二の音を奏でる変態バンド、MESHUGGAH初のフル露出…いや、フルライブ作品。 NOTHINGの再発盤に付いていたDVDでもライブは少し見れましたが、フルはやっぱり嬉しい。 これは、どんなAVよりも変態な内容ではないでしょうか。 はっきり言って、どこを見てたらいいかわかりません笑 結局は気持ち良くイ……ノッてしまいますけどね。 選曲についてはアレコレ言いたい気もしますが、上述したNOTHINGの再発盤のDVDの方に、個人的に好きな曲が入ってるので、これはこれで良い作品かと思います。 目下の最新作OBZENが好きな私としては、そのOBZEN収録曲も見れますから。 また来日しないかな。
Koloss
スウェーデンのテクニカルメタル、メシュガーの2012年作
硬質感あるメカニカルなリフと変則リズムを組み合わせた独自のスタイルで、
Djent系というジャンルも作り出した異色のバンド。7作目となる本作は、
前作「ObZen」での楽曲としての聴きやすさから、硬質なギターリフとうねりのあるベースを含む
変則リズムで構築される、彼ららしいトリップ感のあるテクニカル・デスメタル風のスタイルが戻ってきている。
スピード感はさほどでもないが、その分リフの存在感が際立ち、反復されるフレーズと空間性を感じさせる
よりミステリアスな空気感を漂わせている。曲によってはスラッシーな疾走など、初期に通じる部分もありつつ、
さらにダークで観念的な境地も感じさせる。いわば前々作「Catch 33」を荘厳にしたような力作に仕上がっている。
アライヴ [DVD]
スウェーデンのテクニカル・デスメタルバンド、メシュガーのライブアルバム。2010作
2008年の「ObZen」発表後のツアーから、東京、トロント、モントリオール、ニューヨークでの公演から
CDに12曲、DVDには曲の合間にツアードキュメンタリーなどを含んだ105分を収録。
演奏はライブにおいてもカッチリとした安定感がさすがで、変拍子とポリリズムの嵐を軽々とこなし、
CDだけではアルバムで聴く以上の驚きはないのだが、DVDの映像で見ると、
メンバーの高度な技量とともに、バンドとしての生々しいうねりとノリがより楽しめる。
フレドリック・トーテンダルの8弦ギターから繰り出されるリフと、存在感あるベースとドラムが合わさり、
独自のグルーブ感とともにモダンなヘヴィネスが生み出される。そのサウンドはやはり圧巻極まりない。