エマニュエル・パユ―孤高のコスモポリタン (Artist Photo Book)
まず写真集として、様々な表情のパユが素敵です。そして記事には、パユの知性や人間としての豊かさが感じられる内容が沢山あって、ファンとしては大満足の本です。欲を言えば、もっと若い頃の今よりさらにお美しいショットをいくつか入れていただけたら嬉しかったのですが…、それでも私にとっては☆5つに値する本です。
ベルリオーズ《幻想交響曲》他 -ヨーロッパ・コンサート2001- [DVD]
最初からパユのフルートの音が気持ちよく響くので、画面に吸い込まれてしまうくらい、夢中で見てしまう。表題の「幻想」も、教会の空間を生かした演出があって、趣がある。ヤンソンスの指揮は、きれもいいし、人柄がでるのか、とても温かな演奏に仕上がっている。特典映像でイスタンブールおよび会場のイレーネ教会、またトルコの伝統音楽についての詳しい説明があるのも、参考になって楽しめた。
モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲、フルート協奏曲第1番&第2番
私が大昔に初めて聴いたのがランパルがパイヤール室内と共演したもの… ただでさえ甘いパイヤールに更に甘いハープとフルート… 何だか豪華だけど美味しくはないデコレーションケーキの様な印象だったのです。
この盤の演奏を聴くとアバドが如何にして甘さ控え目にするか腐心したか解る… まずテンポがちょっと速く軽快さを強調している、それで普通はレガート気味なベルフィルのストリングスを軽く切る様に弾かせる… ちょっと聴くとピリオド的なアプローチな感じ… これがパユのストレートで(トラベルソみたいな音だね)嫌みのない音に合ってるよね。それとハープのギラギラとした響きが抑え気味なのが好ましい… フォルテピアノの様に地味に聞こえる箇所が有り面白かった。
残り二曲のフルート協奏曲は普段通りの美しいストリングスのベルフィルで非常にしっとりとして良い… ここら辺の曲によるアプローチの切り替えが明快で曖昧さが無い… やはり協奏曲を振るアバドの手腕は素晴らしい。まあー交響曲では手際の良さと軽快なスマートさが目立つので「精神性に欠ける」などと言われるんですね… ちょっと可哀相な気がするね。
パユは最近のバッハなんかも聴きたく思いました、エキセントリックでラディカルな高木綾子さんとは違う魅力がある… 基本的に二人とも音色が地味なんだけどね。そこが良いのです。