オリビア・ニュートン・ジョン&フレンズ
英国に生まれオーストラリアに育った1970年代の世界のアイドル、オリビア・ニュートン・ジョンは1980年代に結婚・出産を経て母となり幸せな時期を過ごしていたが、突然、乳癌という病魔に襲われる。その試練を乗り越えたオリビアが、自ら、癌治療・研究・看護の機関を設立し、そのThe Olivia Newton-John Cancer and Wellness Centreへの寄付につながるチャリティ・アルバムとして出したのが、この2008年のデュエット・アルバムだ。国内版CDの帯にはこう記されている;愛の妖精、オリビアが世界中の人びとの健康と幸せを願って創りあげた夢のデュエット・アルバム!
デュエット・アルバムとしては、2004年の「デュエット・ウィズ・オリビア」の続編的な作品であり、その2004年作品と2トラックの重複がある。しかし、ポップ・ミュージックを愛する人であれば両方買っても絶対損はないと私は思う。
冒頭トラックからして感涙ものの感動的デュエットだ。やはり、過去に大きな病気(ホジキン病)に襲われ、その試練を乗り越えたデルタ・グッドレムとのデュエットからアルバムは幕を開ける。この二人ならではの力強く暖かい歌には強い人間愛を感じる。
全体に、広狭両方の意味での愛の歌と人生への応援歌や賛歌のような歌が並ぶ。実際に病を乗り越えたオリビアが歌うそうした歌は、病めるときも、とくに病気というわけではなくても、励まされるところが大きい。現実は歌の歌詞のようにはいかない部分もあるので全ての歌に全面的に共感できるという訳ではないが、励まされる部分が大きいことは確かだし、メロディアスでキャッチーな良質のポップ・ソングが並ぶ好アルバムだ。
万里の長城は月から見えるの?
月から地上を眺めた時に見える人工物は万里の長城とオランダの堤防だけ――人類で初めて月面に到達したアポロ11号のニール・アームストロング船長がこう言ったとか言わないとか。子どもの頃、たしかに聞いた話だ。本書の話はここから始まる。
著者は、北海道大学教授で中国文化・文学・芸術などを研究している武田雅哉さん。ウィットに富んだ面白い文章だ。
だが、この話は、2003年に中国人初の宇宙飛行士となった楊利偉によって否定される。地球軌道上からでも万里の長城は見えなかったのだ。
意外なことに、中国政府はこの事実を重く受け止め、宇宙から万里の長城は見えないということを教育に盛り込んだ。
話は17世紀に遡る。天文学者ケプラーは、月に知的生命体が住んでおり、地球を観察していると想像する。彼らは高性能な望遠鏡を使って地球の人口建造物を見ているのだという。この話は19世紀末のSF「宇宙戦争」にも受け継がれる。火星人が地球を観察しているという、あの話だ。
武田さんは、こうした物語を背景にして「月から万里の長城が見える」という話につながったのではないかと想像する。
話は現代に戻る。
月ではなく、スペースシャトルや国際宇宙ステーションが跳ぶ機動から万里の長城が見えるかというと、大方の意見は見えないというところに落ち着く。皮肉なことに、人工衛星からは万里の長城こそ写らないものの、中国の道路や都市といった人工建造物は写真に収められている。
武田さんは皮肉を込めてこう綴る。「『アメリカ人の宇宙飛行士がでっちあげたでたらめな話を、中国人の宇宙飛行士が勇気をもって正した』という、すぐれて愛国的な、新たな長城神話の完成です」(194ページ)。
「‥‥こうして2049年、わが国の建国100周年を記念する愛国的事業として、長城に沿って強力な電飾が設置されて以来、偉大な世界遺産『万里の長城』は、月面から肉眼で見る、唯一の人工建造物となったのである」(207ページ)。
上海 万里の長城
ジャンルはパズル。このタイプのゲームはいろんな機種でいろんなソフトが数多く発売されているが、タイトルはゲームソフトによって"大連"や"上海"といったような感じで、違う中国の都市名が使われていたりする。内容はどれもほとんど同じ。
ルールは、たくさん積まれてある麻雀の牌を上の方から順番に(2つ一ペアとして)取り除いていくゲーム。全て取り除ければクリアで、半端が残ればゲームオーバー、、、といった感じ。
万里の長城 攻防三千年史 (講談社現代新書)
廉価な書籍としては、情報量は多いと思います。特に地図が参考になります。単なるべた塗りの色分け地図ではなく、地形線の入った、カラーでこそありませんが、ナショナルジオグラフィックなどで利用されている地形図に、長城線が引かれていて、具体的な位置がわかり便利です。以下掲載地図を紹介。
戦国期 燕、斉、楚、趙、秦、それぞれについて、各1枚
秦代 秦の長城と軍事道路である直道の地図が1枚
漢代 甘粛省の長城、朝鮮から、敦煌付近までの全体図各1枚、甘粛省エチナ河付近1枚、
北朝と隋 全体図1枚(西魏と東魏の間の長城も記載されている)
金代 界壕と呼ばれる堀(主に対モンゴル人用)全体図1枚
明代 遼東から嘉峪関までの全体図、遼東詳細部分1枚、北京付近500Kmの詳細図1枚
明代と漢代では、かなり場所が異なっていることがよくわかります。地形線が記載されているので、位置の比較がしやすい点が便利。同じ遼東でも、戦国燕と明代では、位置がかなり異なります。全部あわせると一体何万キロあるのでしょうか。
各時代の長城の利用状況や意義やエピソードが記載されている他、前後漢代、唐代、明代の防衛システムについて詳述されています。また、戦国期の燕、斉、楚、北朝、金代など、あまり知られていない長城についても記載されいます。一文の記載しかありませんが、漢代長城が、最近では、カシュガルまで延びていたと推測される遺構の件や、明代貴州雲南地方の苗族向け長城の存在など、本書で初めてしった事も多く、便利な著作となっています。写真が少なく、工法についてもところどころ言及されている程度なのが残念。中国歴代の城や城門、建築について扱った一般書を目にしたことはあまりなく、建築の本も読んでみたいと思いました。
万里の長城 (福音館の単行本)
始皇帝の時代に万里の長城が作られてという単純な絵本かと思えば、そこは加古、んなことありません。
話を四十六億年前から始めています。つまつ大陸の構造まで視野に入れて、長城を節米していきます。ですから、長城とかかわるありとあらゆることが次々語られていき、どんな物事も一面からは語ることができないのが、子ども読者にもわかる仕掛け。