キングダム・オブ・ヘブン(ディレクターズ・カット) [Blu-ray]
(多少ネタバレ含みますのでご注意)
両軍の言い分も理解できましたし、両方の王の考え方も筋も通っていて納得でした。全体の映像も綺麗だったし戦闘の迫力もありました。メインの恋愛パートも子供のパートもほとんど無駄が無かったように感じました。正統派で素晴らしい映画でした。
ただ一つ、
最初っからバリアンが完璧すぎて違和感ありすぎました。ゴッドフリーは最初っから威厳と風格が感じられましたが、その息子バリアンが何の理由付けもないままに、最初からアノ風格と落ち着き具合は変でしたw
そもそも、成り行きで十字軍に入って力を発揮、エルサレムに着いたら親の七光りでいきなり偉い人に。そして人の上に立ってみたら人格者で皆の人気者で、王女には惚れられるは、不倫はするは、10/1の兵力差で無謀な戦いをしても運良くドローになるわ、、そして王から一目置かれて自分の妹と結婚して次期王になれと大抜擢!! でも無礼に断って、、素晴らしい戦略と統率力をもってして最終決戦へ突入!
って・・
書いてても笑えるくらい都合が良すぎる。主人公を「バリアン」から「ゴッドフリー」に置き換えたら、面白いことに違和感がなくなりますけどね。最初からゴッドフリーの伝記として描けば脚本もスムーズで素直に感情移入できたと思います。なぜ取って付けたように外に作った息子に切り替えたのか全く理解が出来ませんでした。
文句は多いものの、近年稀な正統派大作だと思います。余談ですが、エドワードノートンの使い方が贅沢すぎですね。種明かしされてもピンときませんでしたw 未見の方ぜひ一度お試し下さい!
「キングダム・オブ・ヘブン」オリジナル・サウンドトラック
約6割くらいは讃美歌風のキリスト教の雰囲気を表す音楽で占められており、後2割程度がアラブ、中東を表す音楽、そして残りは戦闘などを描写しているような印象の構成になっている。 分厚いオーケストラによる重厚感は余り無く、讃美歌の歌唱が特徴的で歴史スペクタクルものの音楽としてはやや軽い印象です。主題歌の女性歌手の声が可愛らしく、耳に優しい。全体に高品質な音楽だと思います。
キングダム・オブ・ヘブン 特別編(初回限定生産) [DVD]
寒村の鍛冶屋から聖地エルサレムを守る騎士となるまで、バリアンの魂の遍歴を描いた、壮大な歴史劇です。
冒頭、妻の葬儀の無残なこと・・・憐れみを示すべき僧侶の態度が、時代の混乱と救いを求める民衆の喘ぎとの落差を見せます。
聖書に「天の王国はすでに来ている、それは人の心の中にある。」とあります。バリアンの父親が正義や愛を、騎士道を貫くことを徹底的に教え込もうとするのは、その原則を理解しなければ、エルサレムを巡るせめぎ合いは単なる権力闘争に過ぎないことを知り尽くしていたからでしょう。
バリアンは父の願い通り、ささやかでも宗教や人種を超えて楽土の建設に励みます。また、たどり着いた十字架の地で亡き妻の魂を思い、自身も平安を得ます。
しかし恐れていた通り、エルサレム王の死によってイスラム教徒との戦いが再燃してしまいます。バリアンが王妹の求婚を断るのも
父と同じ理解に立ったからであって、彼女の選択はたちまち血で血を洗う紛争を引き起こします。
ラストで再び自分は鍛冶屋だと名乗るバリアン、彼の心はキングダム・オブ・ヘブン:天の王国はいかなるものか、確信を得たように見えました。
エルサレムを含むパレスチナの地は十字軍遠征終了後、20紀初頭まで各宗教の聖地として巡礼を受け入れ、平和に過ごしてきました。
今世紀に入ってから起きたパレスチナ紛争がこの映画を暗く、複雑なものにしていると思いました。
キングダム・オブ・ヘブン 公式完全ガイド
映画には賛否両論あると思いますが、
映画版では全く語られていないストーリーや各登場人物の背景も解説されています。
脚本を作るにあたっての過程やストーリーボードの一例、キャスティングの経緯、
そして衣装・武器・美術セットのデザインや当時の戦法・武器に関する解説の他にも、
十字軍の大まかな歴史や参考文献も紹介されています。
その他にも、十字軍や騎士物語を題材とした他の映画タイトルが参考に幾つか紹介されています。
映画に出てくるシーンや撮影風景の写真、衣装やセットのデザイン画、
そして十字軍に関する絵画も多く掲載されています。
映画製作の裏側を詳しく知ることもできますし、
歴史ものの映画が好きな方には良いのではないでしょうか。
読み応え十分の良書です。
(個人的には、気になっていたボードワン4世役の
エドワード・ノートン氏の紹介がないのは少々残念ですが…)