ビッグ・マグナム 黒岩先生 [DVD]
横山やすしが拳銃所持を許可された教師に扮して暴力学園に立ち向かう学園ものですが、暴力には暴力を、というタカ派的路線でもなく、管理教育批判でもありません。教育的にどの立場にも立ってません。むしろ、教育現場をあくまでもお笑いの材料として見たナンセンス映画。そこがいいところでも悪いところでもあります。
生徒の暴力も、レイプも、逃げまどう教師も、銃を撃ちまくる横山やすしも、すべてナンセンス劇の記号でしかないので、ただただ笑えます。陰惨さはまったくありません。
その分、どの登場人物にも共感できず、何の感動もありません。でも、変な主張をせず、校内暴力問題も東映流に見事に料理しております。
何せ悪の生徒の親玉はナチスの親衛隊の制服着て、ハーケンクロイツの旗を掲げて出てきますし、西川のりおはあり得ない量の放尿。噴水のごとく噴出して虹も出ます。
横山やすしは銃は撃っても一人も殺しません。なのに相手は「今回はオレの負けだ」と勝手に負けを認めてくれます。ここがまた不思議なケンカのルールで、どうも腑に落ちないところです。銃は使っても、レイプしても、あくまでもケンカ。暗黙のルールは破られません。殺人が起こってしまっては、「お笑いの材料」とならないからでしょうけど、もうこの際、大量殺人も全部お笑いで描いてくれたら、もっとすごい映画になっていたと思います。
ラスト、スーツ姿の横山やすしが棺おけに入れられて埋められた後、何の説明もなく墓が爆発し、バトルスーツ姿になって登場します。ここのナンセンスな感覚は最高です。あややの「スケバン刑事」で最後にバトルスーツになるのは、この映画でも守られている東映の伝統なんですね。
静かなるドン(105) (マンサンコミックス)
1988年の連載開始から、去年の年末まで、異例の長期連載を遂げた「静かなるドン」
単行本ももうすぐ完結ですね。
24年も前に想像した設定やキャラクターたちを、現役のまま描き上げた継続のチカラもさることながら、その人気が衰えないまま連載終了まで走りきれた持久力にこそ感嘆します。
新田たつお先生は、優れたストーリーテラーとしてけでなく、効率的な生産性向上の実践者として評価されるべき素材でしょう。
先生は「一週間のうちの4日で作品を仕上げる」ということを一貫して20数年続けてきて、一度も原稿を落とす(間に合わなくなる)ことがなかったといいます。
また、ネーム入れ(コンテ)を書かないで原稿を仕上げるという方法をとっていたことも、おおきく作業が短縮できたことに功を奏していたともおもうのです。
人気のある長期連載のマンガでも、正直飽きてしまって名前だけが一人歩きし、おもしろいとおもえないものが多いなか、ほんとうに「おもしろい」ままに走りきってしまうという快挙は、称賛にあたいすることでしょう。
そもそも新田たつお先生のお名前自体、友人の名前をそのまま使っていまに至るもので、その立ち位置からはじまり先生の存在の諸般がウィットに富んでいるのです。
先生の作品に最初に触れたのは、SF作品のパロディー大作「怪人アッカーマン」というお話しでした。
その憚らない下品さとユーモアで楽しませていただいたものですが、そこからはじまり今日までほとんどの新田たつお先生作品を拝見させていただいております。
「静かなるドン」の連載の最中にも、そのストーリーテラーの才能を存分に発揮された名作として、特に「サラ忍マン」と「チェン爺」の2作を挙げることができるとおもいます。
ただのふざけた時事的なノリだけのお話しなら、残念ですがそれは長い評価には耐えられないことでしょうけど、上の2作は一見軽いノリに見せておきながらなかなか骨太なテーマを折り込んだ傑作なのです。
このお正月、単行本100冊近くを1巻からイッキに読み直してみたのですが、飽きさせることなく螺旋の階段をどんどんあがるかのように楽しさが増していくおもしろさを感じさせていただきました。
マンガを評価する軸はいろいろあるかとはおもうのですが、まずは「おもしろい」ということが、わたしのなかでは大きいのです。
その意味では、やっぱり「静かなるドン」、大傑作だとおもいました。
嘉門達夫 ゴールデン☆ベスト-オール・シングルス+爆笑セレクション1983~1989-
タイトルにある通り1983年から1989年、コロムビアレコードに
所属していた頃のシングル集。
しかもA面だけではなくB面まで収録した、まさに「完全版」です。
これまでCD化されなかった
「アタシはばってら」(アルバム収録とは違うバージョン)、
「あったらコワイセレナーデ」、「アホが見るブタのケツ2」
(後にベストに入ったのとは違うバージョン)
さらにアルバム未収録の「ウシ」、
「小市民2」のシングルバージョン、「AWAN AWAN!!」
そして幻のデビュー曲「寿限夢No.1」とそのB面
「真冬のロンリービーチ」も収録されています。
こう書くとマニア向けのアイテムのようですが
どの楽曲も、非常に凝って作れてる上に
若い頃の勢いがあり、大胆かつ繊細な楽曲が楽しめます。
今の嘉門達夫には正直大胆さも、繊細さも感じされないので
この頃の気持ちをもう一度思い出して欲しいなぁと切に思いますね。
ライナーノーツも嘉門ファンの方が書いていらしてるようで
読み物としても楽しめます。ファン必需品の1枚です。
ただ、ファーストアルバムからの収録曲は
「業界人間ベム」じゃなくて「トキメキのオバンチュール」
にして欲しかったなぁ。
新・替え唄メドレー
今のレーベルになって初シングル。
当時のヒット曲が多く楽しい作りになっているのですが
1曲の時間が長い。
特に「アジアの純真」や「ガッツだぜ!!」は冗長な感じが。
もうちょと簡潔にまとめて欲しかった。