アフガン零年 [DVD]
あまし難しく考えずに見てみるとよい、ですよ。製作された経緯が大変に興味深いです。
「映画」の定義にこだわる事なく、杓子定規に考えないで、頭をぽわんとゆるめた状態で見てみると、、
ひとつの悲しいお話です。
役者の多くが素人です。主人公の女の子も、監督が道端で出会った物乞いで生計を立てている少女だとか。
お香屋の役で登場する少年も、道で犬をつかまえては売っている普通の少年だそうで。
実際、それほど気乗りしないで見た映画ですけど、なかなか良かったです。ただし、どこにも救いは見当たりませんけど。
「虹」の場面が希望を象徴する場面になるはずだったけど、監督は、そのシーンをカットしたそうです。カットせざるを得なかった。そのあたりのメッセージを思うと、やっぱ暗い気持ちになっちゃいます。
よく人に希望を見出そうとする作品も多いのですが、実際、そんなことないじゃないですか。願望じゃないですか。そういう希望がなく、現実的なラストシーンです。
だから映画に自分好みの娯楽性だけを求める人なら、見ない方がいいのに、、。
「アフガン零年」 虹と少女 ~監督セディク・バルマクの描いたもの
本書の内容は、以前放送されたNHKスペシャル「マリナ~アフガニスタン・少女の悲しみを撮る」の番組に沿っている。
しかし、放送だけでは判らなかった前後関係や物事の背景が細かく書き記してある点がありがたい。
今、世間では映画「華氏911」が話題となり、たくさんの人が観ている。
その「華氏911」が「持てる者からの告発」だとすれば、映画「アフガン零年」は「持たざる者からの叫び」だ。
わたしは先日この映画を観る機会を得、悲しみという言葉を安易に使えないほどの衝撃を受けた。
映像の美しさと共に、アフガン人の静かな叫びがそこにあった。静かな叫びは、物事の本質を浮き彫りにする。
本書は、「アフガン零年」を観るにあたってのガイドとなり得る本であると思う。
たくさんの人が本書を、そして「アフガン零年」を観る事を願って止まない。