崩れる 結婚にまつわる八つの風景 (角川文庫)
数年前から貫井さんの長編小説に嵌り、最近の物はほぼ読んでいます。
短編集はないものか調べてみたら15年も前に書かれた、この作品に出会いました。
15年前に書かれたとは思えないくらい、今読んでも全く古めかしい感じもなく
8つの短編、どれも面白く読めました。
時代背景は15年前と様変わりしても、人間の持つ様々な感情は変わる事がないだけに、
全ての物語に感情移入しながら読めます。
以前、長編の時にも感じた事ですが、著者は女性以上に女性心理がわかる事も驚きです。
誰もが登場人物の誰かと似たような経験や気持ちを味わった事があるのではないでしょうか。
貫井さんには、又短編も書いて頂きたいと切に思います。
後悔と真実の色 (幻冬舎文庫)
若い女性が連続して殺される事件が起きた。被害者は皆、手の人差し指を切り取られていた。
犯人の狙いは何か?一方、ネットの掲示板には殺人予告や殺人実況中継が!!捜査一課の
西條は、持ち前の鋭い洞察力で犯人に迫ろうとする。だが、恐るべき罠が彼を待っていた・・・。
連続殺人事件を軸に、その捜査に関わる者たちを克明に描き出している。真相究明、犯人逮捕・・・。
同じ目的に向かって進んでいるはずなのに、立場の違いからさまざまな問題が噴出してくる。
憎悪、確執、ねたみなどがむき出しになり、人間関係の醜さが浮き彫りになる。そんな中、
犯人像が掴めないまま、彼らは右往左往する。そして、真相に迫ろうとする西條も窮地に
立たされる。
登場人物が多すぎて、最初ひとりひとりの人物像がつかみづらかった。また、500ページという
長さは本当に必要だったのか?という疑問も感じる。読んでいて途中で退屈さを感じる部分が
あった。犯人も途中から分かってしまい、面白さ半減だった。犯人の動機も弱いのではないか?
いまひとつ、のめり込めない内容の作品だった。
慟哭 (創元推理文庫)
連続少女誘拐殺人事件と事件を追う捜査一課長を描く本格的なミステリーです。
まったく救いのない結末が評価の分かれるポイントだと思います。
非常に読みやすく、記憶に残るエンディングではありますが、なにも解決がなくすっきりしない
ところが個人的には今ひとつというところ。