幻のメロディー(2)
幻のメロディーの1と2を同時に購入。
お目当ては「沢田研二」の楽曲。
再生スイッチを入れたら「ん???」
聴き慣れた「勝手にしやがれ」とは全く違うイントロからスタート(当然ですが)。
曲のテンポも少しスローな感じ(前作「さよならをいう気もない」の様な)。
所が、聞いていくと何とも壮大感が伝わります。
このデモテープから格好良く仕上げたジュリーに改めて脱帽です。
次の「OH!ギャル」はデモよりも一段階前なのか、歌詞もメロディーも完成曲と
違う部分が結構有って、これはこれで貴重だと思います。
(ちょっと面白いです。)
ジュリーの楽曲6曲中シングルA面曲は以上2曲ですが、CD全13曲通して聴くと
大野克夫氏の楽曲作りへの愛情を感じずにはいられませんでした。
この様な、貴重な音源を聞く事が出来て大変幸せです!
ザ・スパイダース にっぽん親不孝時代 [DVD]
手広く娯楽業種を増やす興業社の社長や寺の住職の息子らを中心とした5人組の悪童グループは、リーダー格の父親である社長の部屋から30万円をネコババし楽器を調達して即席のバンドを組んだ。
そんな時に彼らの住む街に、社長が強引に得た学校の用地を「計画を変更してデパートを建てる」と言い出した。それも、非合法手段で得た資金で・・・。
それは、5人の悪童グループと2人のフーテンをも巻き込む血みどろの争奪戦へ発展していく・・・。
日活でグループ主演シリーズを作ったザ・スパイダースが、唯一東宝(+東京映画)で作ったグループ主演作である。
作風としては国産GS映画らしく『ヘルプ!』を意識しているが、全体的な色合いは東宝の『暗黒街』・『国際秘密警察』シリーズのようなダークな雰囲気になっている。それでも、骨子である「青春と親不孝」というテーマも明確にダークな部分に符合させ一体化させている。
それは、「組織の裏切り合い」という面でも明確になっている。7人と組織を打ち負かし、勝ち誇った裏切り者のボスは最後の最後の最後で陰湿にして残酷な天罰を受ける。7人が爽やかに歌う後のラストシーンに、思わず「ざまぁ見ろ!いい気味だぁ〜!!」と言いたくなってしまうだろう。
日活で鍛えてきたザ・スパイダースの面々は、個性が明確となりいきいきと動いている。GS映画には珍しい星 由里子氏も『若大将』シリーズの澄ちゃんというより、『モスラ対ゴジラ』・『三大怪獣 地球最大の決戦』ばりの行動派のヒロインを好演している。その意外な正体には、誰もがド胆を抜くだろう。
『海底軍艦』・『モスラ対ゴジラ』の悪人ばりの佐原健二氏や佐藤一郎プロデューサーの『駅前』シリーズ風の藤村有弘氏も味があったが、本作には堺 正章氏の父・堺 駿二氏が出演している。しかし駿二氏は、本作の公開前に逝去されている。当時は追悼映画という意味もあったろうが、ご子息の出世を見届けた「遺作」という置手紙なのかもしれない。
松山善三監督の原作を山本邦彦監督が脚本も兼ねてデビュー作として製作したが、しりとり繋ぎのカット割りは見応えがある。シネマスコープを活かした合成カットも、大胆なものだった。
音楽はかまやつひろし氏と連名で、『電送人間』・『陸軍中野学校』シリーズの池野 成氏が担当した。最後の天罰のシーンでは先の2作ばりの重厚でダークなサウンドを聴かせてくれるが、裏切り者の口笛のテーマには池野氏の『ザ・ガードマン 東京忍者部隊』でも使われた曲がモチーフが使われている。この辺が、大野克夫氏&井上孝之氏に影響を与えたのかもしれない。
いろんな要素を入れた東宝版『ヘルプ!』だが、他社の波及作(『進め!ジャガーズ 敵前上陸』・『ザ・スパイダースの大進撃』)と比べてみるといいだろう。
音楽家・大野克夫の世界~「傷だらけの天使」「太陽にほえろ!」「名探偵コナン」~
辛口の意見が多いようですが、「名探偵コナン」で大野さんを知った若いファンの方が過去に遡る入り口としてはこの代表3作からのチョイスはいいと思います。
「太陽」「傷天」「コナン」のCDはほぼ所有していますが、音質が向上した太陽ライブは良いですね!ブックレットでの大野さんのインタビューによると、メドレーの構成や演奏は難しかったそうですが、個人的にはマカロニ刑事のテーマからテキサス刑事のテーマへのジョイント部分が好きです。あとこれにジーパンや山さんのテーマが入ってたら最高でしたね。
また、他の方も書いていましたが、今後『水のないプール』『野獣刑事』の完全版のリリースに期待。
それとLP「浮浪雲」のCD化を熱望します。とくに「浮浪雲」は、FREE WAYSの楽曲がラフな感じの演奏バージョンのものが多く収録されていて興味深い内容なのです。大野さんの作品としては、昨年ついに待望の「祭りばやしが聞こえる」も復刻CD化されましたので何とかこれもお願いします。
幻のメロディー
以前何かに掲載された大野氏のインタビューで「未発表作品までリリースしたら自分の手の内を全てさらけ出してしまうので抵抗がある」と触れていたが、それから幾年月・・・不可能と思われていた音源が遂に商品化された!デモ音源というからには、もっと粗雑な音を想像していたものだから、聞いた途端ビックリ!その高い完成度に大野氏が音に対する奥深いこだわりを持つ生粋の音楽作家であることを実感した。ライナーノートで阿久悠氏が絶賛する理由がよくわかった。「音を自由自在に操り、音の楽しさを表現できる」そんな大野氏は日本の音楽シーンにとって、もはや貴重な財産であろう・・・