島根大学 (2013年版 大学入試シリーズ)
出題には特徴があります。傾向を分析し、形式に十分に慣れ、よく出る単元を徹底的に復習しておくことは合格を確実にしたり、あるいは逆転合格するのに重要なポイントです。出来る限り1年分でも多く「本物」を練習し、入試問題の特徴を研究しておきたい。 入試に対する不安を少しでも減らすことは可能です。
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第77回(平成22年度)NHK全国学校音楽コンクール 中学校の部
全国の学校合唱団が日々の鍛錬の成果を発表、しのぎを削るNHK全国学校音楽コンクール、通称「Nコン」。「合唱の甲子園」と
して全日本合唱コンクールと双璧の地位を築く本コンクールも、1932年の創立以来今年で早77回目の開催である。地区予選か
ら全国大会まで各会場の熱気を体感すれば分かるが、生徒達の合唱にかける情熱はスポーツ大会にも負けないドラマがある。
本盤は去る10月にNHKホールにて行われた、地域予選を勝ち抜いた各地域ブロック代表11校による中学校の部全国大会で披
露された課題曲・自由曲全22曲を収めた聴き応え十分な作品である。
01年から課題曲に各部門共通のテーマを設けている本コンクールだが、今年のテーマは「いのち」。昨今人の命が軽んじられる
哀しい出来事が多い世相を反映してのものだろう。中学校の部の課題曲は「I love xxx(アイ・ラヴ)」、詩曲提供者は「愛」ことシン
ガー・ソングライターの大塚愛、編曲は作曲家の上田真樹が行っている。このテーマ、普段面と向かうのはなかなか気恥ずかし
い問題だが、本盤収録の各学校の素晴らしい歌声に乗せて歌われるメッセージは素直に感動を呼ぶ。
各学校毎に表現の個性というものがあり、11校の演奏を聴き比べるのはなかなか面白い。必ずしも上位校の演奏が各々の好み
に合うとも限らないので、是非お気に入りの1校を見つけて欲しい。
一方、コンクールの勝負所とも言える「自由曲」。合唱の新曲がなかなか媒体化されない中、それらの曲がレベルの高い演奏で多
数収められた本作品は貴重だ。一時期自由曲の選択に特定の作曲家の作品が集中した時期があったが、最近は日本人の作曲
家は勿論、様々な外国の合唱曲まで積極的に取り上げられるようになり、聴く側の楽しみが増えたのは嬉しい。
以下、特に印象に残った演奏を挙げておく。
見事2年連続金賞を勝ち取った郡山二中の演奏は強豪揃いの全国大会出場校の中でもやはり圧倒的。中学生は丁度変声期に
あたり、特に男声の安定感を出すのが非常に難しい時期なのだが、ここの男性群の厚みのある声はとても中学生とは思えない。
勿論男声に呼応する女声群の高音域も素晴らしく、ピッチ・ブレス使い等文句の付けようが無い。その上で表現力が素晴らしい。
課題曲の表現等決して過度に誇張することはしないが、自然に歌われる各フレーズに濃厚な感情が含まれている。そして自由曲
の「Gloria」、フランスの作曲家プーランクが得意とした宗教合唱曲の代表作の一つであり、奇抜な表現はないものの難曲である。
この曲に真正面から挑み、技巧・表現力の両面にてほぼ完璧にクリアした演奏はまさに金賞の風格に相応しい。
銀賞受賞の松戸一中の自由曲。ここは毎回自由曲選択のセンスが個性的だが、今回も1970年生まれの若手米作曲家エリック・
ウィテカーとフィンランドの作曲家ヤーコ・マンテュヤルヴィの曲を1曲ずつ組合せというセンスが新鮮。合唱団の表現も部分毎に
神秘的にしたり、茶目っ気ある声にしたりとウィットに富んだ表現で、王道路線の郡山二中との表現方法の対比が面白い。演奏と
しては松戸一中の方が楽しめた。
他にも戦後の女流詩人茨木のり子の代表詩に人気作家の松下耕が複雑な和声を施した「自分の感受性くらい」での説得力が素
晴らしかった島根大附属中、優良賞に留まったものの鈴木輝昭のアカペラ難曲を見事に歌いこなした清泉女学院中の「何が泣い
ただろうか」。地元の同胞郡山二中を意識するように異作曲家による宗教曲「Gloria」の清々しさが好印象だった郡山五中等が特
に印象に残った。
誇張でなく、どの学校の演奏にも感動の瞬間が詰まっている。少しでも合唱に興味のある方は是非お聴き頂きたいと思う。
(敢えてCDに注文をつけるとすればCDのレイアウトだろうか。ブックレット部分が表紙絵の紙きれ1枚では余りにも寂しい。
出来れば各学校の紹介ページ等を掲載したブックレット方式にすれば、参加した学生達自身にも良い記念になると思うのだが。)