若くして才能を開花させながら、明治維新を見ることなく死んで いった英雄。そしてその名も、坂本竜馬などとは比較にならない程 知られていない。 しかし、その功績はとてつもなく大きい人物。一度読んでこの人物 のファンになった。 吉田松陰の高杉晋作の評価が素晴らしい 君の詩の才能は久坂に及ばない。理由は、君の詩には”志”がない。 久坂には強い”志”がある。君は、素晴らしい才能を持ちながら、 ”志”を持たないために力を発揮出来ない。 ”志”とは、人間に磨きをかけ、成長を加速させる。 ”志”を持たないために力が発揮出来ていない。 現代の日本人には、このタイプがとても多いのではないだろうか。
何かの本で読みましたが、池宮先生がこの作品を書くにあたり意識した他の作品は、秋山氏の『信長』だということです。さもありなん。これほど天才・信長を活写した作品には出会ったことがありません。信長のあまりにも突然で、あっけなくも華々しい『死』は、読了後に巨大な存在感となって胸のうちに残ります。この感覚は、読んでくれなきゃ、上手く伝わりません。まさに傑作、大傑作です。さて、この本では信長のことを『破格の天才』と表していました。わたしは、この一言に魅せられました。【上・下巻】
自分は歴史物が好きで池宮彰一郎氏の本は好きなジャンルの物が多くて、たくさん読んでいるが、作者は確かに資料、参考文献をよく調べているのが判ります。 しかし作品の中にこれでもか、これでもかと参考説明が多く、読んでいても何度も同じことの説明があるので、「しつっこいな・・」と感じるて 「先へ進め」 と読みながらも怒ってくる場合が多い。 この「平家」でも従来の源平物とは違った角度から語っていて斬新さは流石と思うが 作者が読者を馬鹿にしているのか何度も同じ説明をしている点に 作者の度量が垣間見える。
家康の生涯を描いた作品は極めて少ないが、本作品は簡潔にまとめてある。やはり山岡荘八作品には及ばない。確かに家康の人生は遁げに終始していた。それが長い時間をかけた天下取りに結びついているといえる。家康のつぶやきが現代風の口調になっているところが多少気にかかるがやむを得ない。歴史小説268作品目の感想。2010/07/10
司馬遼太郎の歴史小説を読んだり大河ドラマを見ても、高杉晋作という人物がどうしてすごいのかは、なかなか理解ができなかった。この本は15年ほど前に一度読んでいたが、どうも高杉晋作とは何者なのかがしっくりしないので、もう一度読み返してみた。確かに長州藩を復活させて、薩長同盟が政治的に意味のあるものにした力としては、高杉晋作の統率力、行動力、一途さは必要だったと確認できた。奇兵隊が階級社会を否定する民衆の軍隊で、それが数で勝る幕府軍を負かした史実は喝采すべきものがある。それでも長州藩に閉じた高杉晋作の生き様は、現代の視点で読むと、物足りなさを感じる。この本は、高杉晋作を描く以上、そのような限界があるのは仕方ないが、著者が高杉晋作を他の志士たちよりも英雄のように描こうとすればするほど、違和感も感じてしまうのである。
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