主人公が峰不二子になったルパン三世シリーズですが、完成度は高くアダルトなルパンファンを満足させる仕上がりになっているとおもいます。不二子は刺激を求めてやまない刹那的な女性として描かれていますが、設定年齢が若くルパン・次元・五右衛門の過去や、ある意味の悪い部分も含めての大人のずる賢しこい生きざまが人間的に深く描写されていて、こちらもかなり楽しめるかとおもいます。タッチはモンキーパンチの原作を劇画調にした感じで、音楽もぴったりです。エロティックなシーンやハードボイルドな内容で、子供が楽しめるルパン三世ではありませんが、1stファンの方なら必見でしょう。
私は今作品を高く評価したいと思います。
日テレの映画枠でたまに放送されるルパンは全年齢向けのコミカルなお子様のルパン入門編と言った作りで、私には毒にも薬にもならない物でした。
映画も、テレビでは出来ない表現に切り込む訳でもなく、結局は後のテレビ放送可能の幅に留まり良作とは言い難い物でした。
その点、今作は非常に挑戦的、意欲的と言えます。 監督は女性とのことでしたが、今回の作画は原作を強い意識した物になっています。が、原作ともまた違う独特な物になっています。不二子の髪型や服装も毎回違うのも女性ならではでしょうか?
色の使い方も面白く、全体的には暗い色を使い、キャラクターや背景に斜線を入れる独特なテクニックで昔のノワール映画のような雰囲気を作り出しています。 その反面、アングルは今風、カット割りはスピーディーなので話はサクサクと進みストレスなく観賞出来ます。セリフが少し説明臭いのも25分アニメをテンポ良く進める方法としては十分に理解出来ます。
今までの作品との違いは、ルパン一味が知り合う前で、次元、五ェ門は駆け出しのルーキーです。ルパン、不二子はもう名前が売れているようで、次元が初めてルパンに会ったとき、「お前があのルパンか」と驚いています。
銭方は近作では、ほとんどギャグキャラ扱いになり、話の最後にルパンを追いかけてエンドクレジットへの流れを作るのが最大の役割という記号的、全体の話の進行に全く影響のない存在になっていました。 しかし、今回は色々な意味で一筋縄では行かない曲者になっています。俗者、狡賢さ、ルパンを追うために手段を選ばないと思わせて、自分の信念に合わない手段は採用しない等々。今までのアニメのイメージとだいふ違う銭方に変格されています。
今回、作り手側に全く新しくシリーズを作ると言う気概を感じます。 原作、1stシーズンと比較されてレビューされている方がいますが、言いたい事は理解出来る反面、あれはあの時代だから発信出来た物であり、そのルールのみで今の作品を評する事は出来ないと思います。 乱暴な話、原作、1st至上主義の方は今作を見る必要は無いと思います。 あくまで、「新シリーズ」であって「リメイク」ではないと私は理解します。
このシリーズは演出、画面作りも実験的ではありますが、十分評価に値します。 オスカーと言う中性的な同性愛を思わせるオリジナルキャラクター、不二子の過去に切り込む(割りとエキセントリックな方向に。)という内容には賛否両論はあると思います。 が、声優の若返りも含め、未来のルパン作品の可能性を期待させます。
出来れば、この作風で長編も見てみたいと思います。
特集はルパン三世最新作の“峰不二子という女”の解説とこれまでルパン三世が歩んだ長い道のりをざっとお浚い! といったルパン三世ファンには嬉しい内容です!!
表紙を飾る緑ジャケットルパンと峰不二子は自然と我々をルパンの世界へと導いてくれます。
また解説は読みやすく、分かりやすいので、あまりルパン三世に詳しくない方も十分楽しめると思うのでオススメです!!
伝説のテナー奏者武田和命の死去に伴う山下洋輔バンドの代役が、ライブデビューという、衝撃的なキャリアスタートを遂げながらも、90年代は、ジャズから距離をとり、ティポグラフィカ、スパンクハッピー等ののバンド活動、あるいは作編曲活動を主としていた菊地成孔。 そんな彼が、とうとうジャズに帰ってきた。 40歳を過ぎての初リーダー作の完全版。は、これまで彼が活動してきたノウハウが、これでもか、と言うくらいに盛り込まれている。 テオ・マセロを思わせる、徹底した演奏の編集。しかも、、殆どの演奏が、完全即興であり、これを巧みにつないでの演奏となっている。 ジャズは、3分の演奏を3分で行うという、セントラルドグマを抜き取ってしまった。 さらに、菊地自らサックスを演奏するトラックは半分もなく、オルガンやCD-J、更にヴォーカルまで披露する活躍ぶり。 それでいて、すべての曲から彼の意図がしっかり伝わってくるのは、本当にすごいと思う(キップ・ハンラハン、ハル・ウィルナーに匹敵するだろう)。 途方もなく録音された音の断片(あたかも、編集前の映画のフィルムのようだ)をとことんまで絞り込んで作り上げた、彼一流の音のフルコースを是非堪能していただきたい。
15人の映画監督が10分という制約で撮ったオムニバス映画のイメージを、コンボピアノが7本、菊地成孔が8本音像化した作品集。 それぞれの人脈からお馴染みのメンバーが加わり、両者の持ち味が発揮されたお得なアルバムだ。コンボピアノは傑作『Agatha』からの勢いそのままにポップな楽曲が並び、菊地の方はカスパー・トランバーグを中心としたデンマーク勢とのセッションに象徴されるジャズ回帰したナンバーが印象に残る。 二人の対談によれば、編集作業を含め時間的にはかなりタイトだったらしいが、そのことが逆に音楽そのものの鮮度をあげているように思う。また余り長尺な曲がなくコンパクトなのも親しみが増す要因だろう。 ベストトラックは、コンボピアノがアキ・カウリスマキに対するレゲエ・ナンバー(鈴木正人のベースが格好いい)、菊地の方はゴダールに対する元曲を徹底的に切り刻んだラスト・ナンバーだろうか。
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