吉本ガイドとしては、いちばんバランスがとれていて、ある程度の深さもある。解釈そのものは厳密さにかけるが、<対幻想>に関しては吉本本人以上にていねいな説明がなされていて分かりやすい。ただし、その対幻想の理論的なコアである<遠隔対称性>に言及するところでは誤読と限界が顕わになっている。 それにしても対幻想からハイ・イメージ論まで吉本思想を俯瞰できるのは確か。吉本と鮎川や自らとの関係も批評していて、これが吉本理解への補助にもなっている。過激なイメージもある思想家を主題とした割には静かなイメージの、しかし、価値のあるガイド本といえるだろう。
渋谷を舞台に鍵師の高校生、通称サルがアイドルや、ドラッグなど裏社会や風俗がらみの事件に巻き込まれていくというのが簡単な内容です。 何となく作者は池袋ウエストゲートパークに影響を受けているのかなと感じるふしがありました。 どちらも特定の場所を舞台にして、風俗的な事件に主人公やその地元友達が協力しあって解決していくという図式がみられます。 青年誌らしく、下ネタもバッチリあり、絵も見やすいのですが、鍵ネタでひっぱるには少しごちゃごちゃした描写が多いのが残念です。 鍵の仕組みについての説明はとても興味深いのに、それをストーリーにうまくのっけるには少し力量不足なのではと感じました。 多分いろいろな要素を詰め込みすぎなんだと思います。 巻数を重ねるごとに鍵ネタも雑になっている印象で、作者がギャグをやりたいのかシリアスをやりたいのか、エロをやりたいのかわからないと思いました。 似たような作品で、のぞき屋という漫画がありますが、ギャグや下ネタのはさみ方はこちらが数段上で、ストーリーも読みやすく、もう少しがんばってほしいです。 ★3つにしたのは、鍵をテーマに扱った斬新さと、漫画として一定のレベルは保てていること、あとは実写化おめでとうの3点です。
『60日間の空白への再会』『芹沢家殺人事件』『ハロウィン ニューヨーク(前編)』収録。
60日間の空白への再会』は、脱獄ものの、人気のある1編。日中は軽く40度はこえるむし風呂以上の暑さ、反対に、夜は寒くて眠れない、普通の人間じゃ1か月と耐えられないように設計してある独房に入れられるも、59日間平然と耐え、そして60日目の朝、脱獄した方法とは?
『芹沢家殺人事件』。ゴルゴ13の生い立ちを探る話は、どれも人気があるが、これはその中でも一番人気のあるという話。150ページ程度の長編であるが、ゴルゴ13は、登場しない。異常なまでの元刑事の執念に、おどろおどろしい世界が繰り広げられる。
発表順に収録されている文庫(SPコミックス コンパクト)版。これからゴルゴ13を揃えようという人に、お勧めです。
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